明日を一新する「値千金」の技術32

明日を一新する「値千金」の技術32明日を一新する「値千金」の技術32―スーパーテクノロジー・ビジュアル報告

 一般向け科学雑誌「Newton」の別冊ムックで、近未来(10年くらい)に実現して日常生活を変える科学技術を紹介している。デジタルカメラや携帯電話のように普及するするかはともかく、試作品や実用段階にあるモノばかりなので数年後には目にするだろう。

 面白いのが「皮膚感覚をもつ航空機」と「金属ガラス」パイロットに触覚が伝わり装甲が再生するモビルスーツも在りだ。「色素増感型太陽電池」はガンダムなどの兵器として在り得ないカラーリングの言い分けになる。


 あと今までリアルに描写されてこなかった「核融合炉」ぶっちゃけ「螺旋状コイルのリング型」になるとはちょっと意外だった。電子ペーパーも丸めるようになったので、雑誌のように丸めたり折りたたんだりできるノートパソコンも考えられる。

 最近は科学技術に興味が湧かなくなっていたけど、こうやって近未来で特集したムックになると想像が拡がっていいな。

ニュートン~サイエンス総合情報サイト

明日を一新する「値千金」の技術32の全文

星山博之のアニメシナリオ教室

星山博之のアニメシナリオ教室星山博之のアニメシナリオ教室

 「機動戦士ガンダム」や「銀河漂流バイファム」の企画から参加していた星山博之氏がアニメシナリオの書き方を示した入門書。2007年2月7日に亡くなられたので(享年62歳)本書が遺作となり、最初で最後のシナリオ講座になってしまいました、ご冥福を祈ります。今後、「星山博之のアニメシナリオ教室」はシナリオライターのバイブルになるでしょう。


星山博之のアニメシナリオ教室(雷鳥社)

星山博之 - Wikipedia

 このところ「シナリオ・原作」といったキーワードで読んだ物では断トツに読みやすい。これからシナリオライターや演出など、アニメ製作に携わる人に向けて書かれていますが、読み物としても面白い。当初、ガンダムの企画書タイトルは「フリーダムファイター」で「ガンボーイ」などに変わり「ガンダム」に落ち着いたなど、出てくるエピソードが一級品ばかりです。

 巻末には「バイファム」「サイバーフォーミュラ」の企画書、「ガンダム」第13話の完成稿シナリオと録音台本が丸々載っています。こういった資料が書籍に載るのは稀で、他ではジブリが出している映画資料でしか見たことがありません。(しかもジブリは企画から絵コンテまで1人の天才が書いているので参考になりません)

星山博之のアニメシナリオ教室の全文

オタク女子研究 腐女子思想大系

オタク女子研究オタク女子研究 腐女子思想大系

 最近、中学生日記が取り上げたりして一般の認識が高まっている「腐女子」についての本です。タイトルに「研究」「思想大系」とありますが、基本的に腐女子である著者とそのお友達(Mちゃん以下数人)、「AERA」の取材での情報、森永卓郎や本田透らの著作や言動からの引用を方向性もなく連ねた感じがします。

 それでも、腐女子の生態の一部が紹介され、腐女子の徹底したステルス行動や東池袋のサンシャイン前が腐女子ロードになっているとか「レディースコミック」と「ボーイズラブ」の嗜好の違いとか解って面白い文章ではあります。ただ、30代の腐女子は美人ではないけどイイ子が多く処女率も高いからオタクの皆さんどうですか?ってベクトルがあって変です。「AERA」読者を意識しているのかも知れません。


 本当は「電波男」の腐女子バージョンを目指したいのか?とも思える書き方をしてますが「恋愛資本主義を暴き、妄想力を高めて脳内で一生暮らしましょう」というようなキツイ主張はありません。そのかわり同族から総攻撃を受けるという、本の内容よりも面白い事態になっているようです。

杉浦由美子「オタク女子研究 腐女子思想大系」まとめ@801:まとめサイト

杉浦由美子『オタク女子研究』 (紙屋研究所の案内図):レビュー

オタク女子研究 腐女子思想大系の全文

黄昏の岸 暁の天 十二国記



 泰王驍宗が登極して半年、戴国に乱が起きる。驍宗と麒麟の泰麒がともに行方不明になり、戴国は混乱を極め、妖魔が徘徊し、荒廃した国になる。そしてアニメ第18話「風の海 迷宮の岸」四章に登場した戴国将軍の「李斎」が景王陽子に会うため、命懸けで慶国金波宮にやってくる。

 時系列としては「風の万里 黎明の空」の後の慶国です。金波宮には「風の万里 黎明の空」で活躍した人物が多く召抱えられ、慶国の復興を進めています。にしても初勅が「伏礼を廃す」だからって、陽子の周りの雰囲気が反乱軍のときのまんまとは・・・朝廷コントの始まりか?そのうち役わりも決まってきて朝議は学級コントになる予感・・・

 戴国を救うため泰麒を探すことになるのだけど、これが十二国初の大事業なる。そして最大の壁になる「天の条理」。十二国を創造した「天帝」の存在にせまるエピソードがいくつか出てくる。

 ニンマリするポイントは初登場(?)の範国のナルシスト王とわがまま美少女麒麟、プリプリ祥瓊(しょうけい)、猿王と赤子の漫才です。女子高校生から王になった陽子が、何ものにも屈せず自然体で「王さま業」をする様子は長編ファンタジーの安定感が出てきた感じがします。

黄昏の岸 暁の天 十二国記の全文

華胥の幽夢 十二国記

華胥の幽夢 十二国記華胥の幽夢(ゆめ) 十二国記

十二国記シリーズの短編集。

▼目次
◇冬栄:戴国、泰王驍宗の命で漣国を訪ねた泰麟。かつて呉剛環蛇を持つ廉麟によって蓬莱(日本)から助け出されたお礼を兼ねての訪問。これまたクセのある廉王の登場。「黄昏の岸 暁の天」に続くホッとできるエピソード。

◇乗月:もと芳国公主 祥瓊(しょうけい)の懺悔の手紙を芳国 月渓のもとに届ける話。峯王仲韃を弑逆した罪に悩む月渓が「人は変わることができるのだ」と悟るエピソード。TVアニメ第40話

◇書簡:登極したばかりの慶国、景王陽子が雁国の大学で学ぶ楽俊と近況などの便りをかわすエピソード。TVアニメ第22話

◇華胥:才国、采王砥尚が求める理想の国。その理想を夢に見ることができる宝物「華胥華朶(かしょかだ)の枝」謎の殺人事件も起きてちょっと探偵物の雰囲気があります。アニメに出てきた采王は砥尚の次の王。

◇帰山:前半は柳国で奏国の利広と雁国の風漢がオヤジ漫才をします。600歳+と500歳+の会話はファンタジーならでは。後半は奏国、宗王御一家の家族コント。十二国最長の大王朝は家族の危機が国家の危機に直結する面白さ、一番好きなエピソードです。


十二国記(公式サイト)
十二国記 Wikipedia:ちょっと複雑な十二国記シリーズの基礎知識として。

華胥の幽夢 十二国記の全文

物語の体操 大塚英志

物語の体操物語の体操みるみる小説が書ける6つのレッスン

 漫画原作で見かける人なので読んでみた。この本は「小説」の才能がない人でも小説家のように書けるのか?という挑戦と、小説を書くための文章の筋力トレーニングを実践することが目的です。タロットカードでストーリーを組み立てる訓練をしたり、マンガ「魍魎戦記摩陀羅」(田島昭宇)は「どろろ」(手塚治虫)の「盗作」と告白して作品構造をパクる方法を述べたりして興味を引く構成になっています。


 スポーツ選手が毎日練習するように文章も毎日書く方がよいでしょう。小説の骨である「物語」だって効果的な筋トレをしなければ上手にならないでしょう。それは解るけど、これらのメニューを毎日続けるというのは結局のところ「努力と根性」論になるわけです。おそらくトレーニングすれば其れなりの「小説」は完成するでしょう。しかしそれは小説家が書く、お金を払ってでも読みたい「小説」とは何か違うのではないかと思う。でなければ・・・

物語の体操 大塚英志の全文

シナリオ虎の巻

シナリオ虎の巻目からウロコのシナリオ 虎の巻

 約20年前に出版され、シナリオの書き方のバイブルになっている「シナリオの基礎技術」その補足説明のような本です。

 なぜ、つまらないTVドラマは出来るのか?がよくわかりました。柱(場面設定)に喫茶店とか公園とか埠頭とか書いて、役者2人に説明台詞を話させる。それでもストーリーは進むし、人気俳優を使っていればチャンネルを変えられることもない。ドラマのテーマや役者に興味がなければ苦痛なわけです。

 シナリオは「書く」のではなく「描く」とするべきだ。それは右脳からくる「ハコ書き」によって構成されている。衝撃を受けました。

 漫画の設計図、ネームの描き方は漫画のスキマで解明された。ではその前は?原作付きの漫画なら原作者から何がしかの原案が示されるのだけど、その書式は決まっていない。マンガのしくみで「ハコ書き」しているのを見てシナリオに辿り着いた。

 シナリオは文字で画面を描く技術です。シナリオを原作にすればTVドラマだけでなく、漫画のネーム、アニメの絵コンテ、もしかすると小説にも応用できると思う。ストーリー、構成を専門にあつかう「シナリオの描き方」学んでおいて損はないでしょう。


シナリオ虎の巻の全文

図南の翼 十二国記

図南の翼 十二国記図南の翼 十二国記

 アニメの十二国記にはまったけど、何年待っても続きが作られないのは何故でしょうか?ほとんどのアニメは見たらそれっきりですが十二国記は気になってしょうがない。ガマンできずに原作の小説「十二国記」を読んでみる。

 「図南の翼」は「風の万里 黎明の空」で王・王后を目前で殺された芳国公主 祥瓊(しょうけい)があずけられた恭国(その後宝物を盗んで逃げた)が舞台で、供王が麒麟に選ばれるまでの話。わずか十二歳の小生意気な少女 珠晶(しゅしょう)が「恭国を統べるのは、あたししかいない」と黄海に行き昇山します。

 アニメ化しないのが勿体ないくらいの絵になる話です。十二国記でもっともファンタジーな風景になる麒麟が棲む「黄海」を12歳のツンデレ美少女(いやデレはないかもしれない)が王になる為に旅をするというRPG要素たっぷりのワクワクドキドキがある。


 それにしても「真君」・・・あの場面であの声で登場するのは反則でしょう。ショーケーキの苺を横取りするかのようなオイシイとこ取りです。てっきりそこは麒麟が助けに来るのかと思っていました。アニメと同じで長いタメと最後の解放感が味わえる一冊で、夢中になって読めます。

図南の翼 十二国記の全文

アルスラーン戦記12 田中芳樹

 最新刊アルスラーン戦記12 暗黒神殿を読み始めたけど、さっぱり忘れている。アルスラーンが王都を奪還しパルス王国を掌握してから、とても長い年月が経った気がします。で、アルスラーン戦記(9)(10)から読み直してみた。

 大きな流れとして、パルス国王になったアルスラーン。落ちのびたヒルメス率いる仮面兵団が同盟国シンドゥラに侵入。その救援のため「アルスラーンの半月形」と呼ばれるトゥラーン>チュルク>シンドゥラの3カ国に及ぶ遠征を行い、ほとんど無傷で凱旋する。その後、蛇王ザッハークの眷属の怪物が復活しはじめ人間対悪魔という構図になり、登場人物の多さを活かした複数箇所同時展開で(11)魔軍襲来、(12)暗黒神殿と続いています。

アルスラーン戦記12 田中芳樹の全文

一年戦争全史上・下

 初代機動戦士ガンダムの一年戦争をテーマにしたミリタリーマニア向けの本です。学研の歴史群像シリーズに似せて作っているので美少女・美少年はいっさい出てきません。高めの値段もアニメのキャプチャを避け、新たにイラストを描き起こしているからかと思います。

一年戦争全史上・下の全文