漫画のスキマ

漫画のスキマ漫画のスキマ―マンガのツボがここにある! (Comickersテクニックブック)

 雑誌Comickers(コミッカーズ)に連載されたコラムをまとめたもので、快描教室漫々快々と続いた菅野博之の漫画技法書シリーズの3冊目です。

 快描教室で漫画絵の描き方を教え、漫々快々で漫画の作り方・見せ方を指導しました。そして漫画のスキマでは、漫々快々で少しふれられた「視線誘導」をマンガの秘奥義として、コマ割りの仕方を徹底的に解説しています。これを読むと、漫画は小説のようにストーリーを作ってはいけないし、イラストなどの1枚絵を並べてはいけないことが理解できます。

 「漫画のスキマ」は4章に分けていますが、もとは季刊コミッカーズの連載15回分に、書き下ろし1回分を足したものです。一応、菅野先生と編集者らしい人との対話形式で書かれていますが、わかり難いです。特に作品名まで挙げている漫画の図解がないのがイタイです。ビミョ~で難しいことを文章にしているので、よく読み込まないと理解できません。

 今までコマ割りは漫画家と編集者の感覚にたよって、良し悪しを判断してきました。それが「視線誘導」として解説されて漫画技法書になったのは進歩です。

漫画のスキマ中身01
 
漫画のスキマ中身02
 
漫画のスキマ中身03
 
漫画のスキマ中身04
 
漫画のスキマ中身05
 
漫画のスキマ中身06
 
漫画のスキマ中身07
 
漫画のスキマ中身08

▼目次(漫画のスキマ)
 著者略歴 菅野博之 p.2
 巻頭マンガ p.3-p.6
 もくじ p.8

第一章JINRIKI マンガとストーリーの複雑な関係 p.10
 Lesson01 キャラクターやシーンからストーリーを練る
  キャラクター設計からストーリーを作る p.12
 Lesson02 アイデアスケッチでコマ割りトレーニング
  コマ割りの最小単位を理解し、コマ割りの感覚を身に付ける p.19
 Lesson03 導入
  読者を引きつける導入とストーリー展開パターン p.26
 Lesson04 『漫画のスキマ』の隙間
  マンガを描く上での様々な疑問に答える! p.34

第二章RECIPRO ストーリーを変えずにページ数を調節する p.42
 Lesson05 ページをのばす・縮める1 縮める
  演出意図を変えずにコマ数を減らし、そのシーンのページ数を短くする p.44
 Lesson06 ページをのばす・縮める2 のばす
  演出意図を変えずにコマ数を増やし、そのシーンのページ数を長くする p.52
 Lesson07 コマを開いて間を取ろう
  コマの並び方、絵の置き方によって発生する「間」を理解する p.60

第三章JET マンガ秘奥義・視線誘導! p.70
 Lesson08 視線誘導のおはなし1
  読者の視線はどのように動くのか? p.72
 Lesson09 視線誘導のおはなし2
  視線が「はがれる」とは? p.80
 Lesson10 マンガの構成要素
  視線誘導で作るマンガのテンポ p.88
 Lesson11 フキダシを使った視線誘導1
  フキダシと視線誘導の関係。 p.96
 Lesson12 フキダシを使った視線誘導2
  「間を殺す」とは? p.104

第四章ROKET コマ割りを自在に使いこなそう p.112
 Lesson13 視線の跳ね返り
  よりスムーズに視線誘導するためのテクニック p.114
 Lesson14 タチキリの活用
  タチキリのコマの後、視線をページ内に返すには p.122
 Lesson15 コマの圧縮・開放
  コマの圧縮・開放とは? p.130
 Lesson16 パースと圧縮開放
  具体的な圧縮・開放の、様々な技法 p.138

あとがき 漫画のてにをは p.146
おくづけ p.147


【「漫画のスキマ」のレポート】

 第1章「マンガとストーリーの複雑な関係(Lesson01~04)」で拾ったことは2つです。

漫画のスキマ図01 まず1つはネームのきり方。ネームとは漫画の下書きの前に描く設計図のようなものです。

 基本は3~4コマの演出。大まかなストーリーが決まったら、場面場面のシーンを絵付きの3~4コマで描き出します。5コマ以上は、1ページ5~6コマで考えているなら、縮めるかコマを増やして2つに分けるかします。その3~4コマのブロックを各ページに埋め込んで、タチ切りや視線誘導、話のメリハリを考えて、絵の構図やコマの組み換えなどして調節していく流れです。

 ネームでやってはいけないのが、ストーリーから文章でコマ割りすること。例えば「金髪の美少女登場」「一万隻の大艦隊」どちらも白黒漫画では描けません。描くにしても自分にその技術があるか?というのもあるのでネーム段階で具体的に絵を想い浮かべるのが良いでしょう。あとイラスト絵、後で説明される視線誘導でいうところの、目を止めてじっくり見てしまうコマ。漫画は視線を流さないといけませんので、安定した構図のイラスト絵は決めゴマか、区切りのコマなどになります。

漫画のスキマ図02 もう1つは漫画の始まり、導入です。大長編漫画、短編読み切りはもちろん、連載漫画なら毎号、導入があるようなものです。そしてこの導入というか「つかみ」を失敗するとその後のページは読んでもらえません。導入のパターンについては「漫画のスキマ」に出ていたものを自分なりに整理しました。

 あと、蛇足ですが、「物語」といっても、延々とつづく歴史や時の流れの中で、ある時代や人(キャラ)にスポットをあてて抜き出しているだけで、その前も、その後もある。SFやファンタジーにしても空想というだけで、その世界や人にも前後があってしかるべき。ならば「物語」は全て途中から始まるのであって、どう始めるかは「物語」をどう展開していくのかで、作者が決めるべきこと。というのは面白かった。

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