物語の体操 大塚英志
漫画原作で見かける人なので読んでみた。この本は「小説」の才能がない人でも小説家のように書けるのか?という挑戦と、小説を書くための文章の筋力トレーニングを実践することが目的です。タロットカードでストーリーを組み立てる訓練をしたり、マンガ「魍魎戦記摩陀羅」(田島昭宇)は「どろろ」(手塚治虫)の「盗作」と告白して作品構造をパクる方法を述べたりして興味を引く構成になっています。
スポーツ選手が毎日練習するように文章も毎日書く方がよいでしょう。小説の骨である「物語」だって効果的な筋トレをしなければ上手にならないでしょう。それは解るけど、これらのメニューを毎日続けるというのは結局のところ「努力と根性」論になるわけです。おそらくトレーニングすれば其れなりの「小説」は完成するでしょう。しかしそれは小説家が書く、お金を払ってでも読みたい「小説」とは何か違うのではないかと思う。でなければ・・・
あと一番知りたい小説家の個性になる「文体」については、これらの物語を書くトレーニングを積めば自然に身に付くという話でした。文体は漫画でいえば絵柄やペンタッチのようなもので、模写すればソックリに描けるから「才能」という言葉で神聖視するなと云いたいようです。しかし模写でソックリに描けても、吸収して自分の個性として出すにはやっぱり「何か」在ると思う。
▼目次
第1講 本当は誰にでも小説は書けるということ
第2講 とりあえず「盗作」してみよう
第3講 方程式でプロットがみるみる作れる
第4講 村上龍になりきって小説を書く
第5講 「行きて帰りし物語」に身を委ね「主題」の訪れを待つ
第6講 つげ義春をノベライズして、日本の近代文学史を追体験する
あとがき
メモ: RPGと探偵モノは依頼されてクエストするという作品構造が同じ。なぜそうなるか?読者は物語やドラマを求める、それは「変化する」ことなのだけど、最初の導入だけは読者は受け身なのだ。だから王様や依頼人が出てきて頼まれる。それ以外の方法は日常から始めるしかなく「学園モノ」か「千と千尋の神隠し」の導入のようにある日突然となる。エログロを排除して読者を惹き込む導入パターンは数えるほどしかないのかも知れない。
しかしながら"発想力"のトレーニングにはならない。
よっぽど腐女子の"妄想力"の方が凄いと思います。
日めくりカレンダーに書いてある『本日の格言』みたいな文をテーマに
ストーリーか日々妄想する訓練をするといいかも。
あとはネタになりそうなモノは全てメモる習慣を。
木島日記は、題材のとり方が卑怯・・・というか、民俗学の美味しいとこ取りで。
ただ、その美味しい素材をちゃんと料理して出してくれるので、そのへんがわかりやすくて面白いです。
ちなみに、コレ読むよりは、昔読んだスティーブンキングが書いた「ベストセラー小説の書き方」の方が参考になるような気がします。
でも、これで良いモノが書けるのか?とも思います。
ほうほう「ベストセラー小説の書き方」ですね。
でも、小説ではなくネタの出し方を欲したんです。
「盗作だ」と申しております。