10のストーリー・タイプから学ぶ脚本術
ハリウッドで成功した脚本家が、映画のストーリーを10パターンに分類し、物語構造を解説します。売り込むための映画シナリオ術『SAVE THE CAT』の第2弾です。
10のストーリー・タイプから学ぶ脚本術 SAVE THE CATの法則を使いたおす!(amazon)
10のストーリー・タイプから学ぶ脚本術 SAVE THE CATの法則を使いたおす! (honto)
およそ2時間の映画作品に盛り込むべき要素を体系化した『ブレイク・スナイダー・ビート・シート』の解説をイントロダクションでします。それを元に数多くの映画を分解・物語構造を分析して10タイプのストーリーにまとめます。
ヒットしたシナリオ本の『続編』ですが、前作を読まなくとも内容が解るように編集しています。
第1~10章は、独特のネーミングセンスで記された10種のストーリータイプごとの解説です。章のはじめは、そのストーリータイプの成り立ちや物語構造、ストーリーを満たす要件のチェック。
以降、ストーリータイプに沿った5つの映画(70年代~21世紀の作品から)を挙げて『ブレイク・スナイダー・ビート・シート』に当てはめて詳説します。ゆえに完全にネタバレの映画実況解説です。※観てない映画は読み飛ばしましょう。
巻末は、著者の造語が多い用語解説となります。
■10のストーリー・タイプから学ぶ脚本術 SAVE THE CATの法則を使いたおす!(フィルムアート社)
ネットストアでもレンタル屋でも映画コーナーは、アクションとかSF、ファンタジー、サスペンス、ホラー、ラブロマンスなどのジャンル分けです。本書の10タイプの分類では、それを超えて『物語の骨組』でまとめています。主人公の目的、物語の展開の仕方、結末のパターン、感動の種類が共通項です。
本書の素直な使用方法は、思いついた物語がどのストーリータイプに近いのか?またそのタイプに当てはめて足りないものは何か?をチェックできることです。
逆に、好きな作品からストーリータイプを探り、書きたいタイプ、ハマるストーリーのツボを明確にして、他ジャンルに移植するなどの挑戦も有りかと思います。
ただ単に、観たい映画探しのツールにも使えるでしょう。
ISBN-13: 9784845914364
▼目次(10のストーリー・タイプから学ぶ脚本術 SAVE THE CATの法則を使いたおす!)
もくじ p.4-6
イントロダクション p.7-23
STORY TYPE 01 家のなかのモンスター【家モン】 p.24
『エイリアン』 p.32
『危険な情事』 p.36
『スクリーム』 p.41
『ザ・リング』 p.46
『ソウ』 p.51
STORY TYPE 02 金の羊毛【金毛】 p.57
『がんばれ!ベアーズ』 p.64
『大災難P.T.A.』 p.68
『プライベート・ライアン』 p.74
『オーシャンズ11』 p.79
『そして、ひと粒のひかり』 p.84
STORY TYPE 03 魔法のランプ【魔ラン】 p.90
『フリーキー・フライデー』 p.98
『コクーン』 p.102
『ナッティ・プロフェッサー/クランプ教授の場合』 p.107
『ハート・オブ・ウーマン』 p.112
『エターナル・サンシャイン』 p.117
STORY TYPE 04 難題に直面した凡人【難直凡】 p.123
『コンドル』 p.130
『ダイ・ハード』 p.135
『愛がこわれるとき』 p.140
『ディープインパクト』 p.145
『オープン・ウォーター』 p.150
STORY TYPE 05 人生の岐路【人岐路】 p.156
『テン』 p.163
『クレイマー、クレイマー』 p.168
『普通の人々』 p.173
『28DAYS』 p.178
『ナポレオン・ダイナマイト』 p.183
STORY TYPE 06 相棒愛【相愛】 p.189
『ワイルド・ブラック/少年の黒い馬』 p.196
『リーサル・ウエポン』 p.201
『恋人たちの予感』 p.206
『タイタニック』 p.210
『ブロークバック・マウンテン』 p.216
STORY TYPE 07 なぜやったのか【なぜやったのか】 p.222
『大統領の陰謀』 p.229
『ブレード・ランナー』 p.234
『ファーゴ』 p.239
『ミスティック・リバー』 p.244
『BRICK ブリック』 p.249
STORY TYPE 08 おバカさんの勝利【バカ勝】 p.255
『チャンス』 p.262
『トッツィー』 p.267
『フォレスト・ガンプ』 p.272
『キューティー・ブロンド』 p.277
『40歳の童貞男』 p.282
STORY TYPE 09 組織のなかで【組】 p.288
『M★A★S★H マッシュ』 p.295
『ドゥ・ザ・ライト・シング』 p.299
『リストラ・マン』 p.304
『トレーニングデイ』 p.309
『クラッシュ』 p.314
STORY TYPE 10 スーパーヒーロー【スーヒー】 p.320
『レイジング・ブル』 p.328
『ライオンキング』 p.333
『マトリックス』 p.338
『グラディエーター』 p.343
『スパイダーマン2』 p.347
帰ってきた用語解説 p.353
訳者あとがき p.360
著者略歴:ブレイク・スナイダー/訳者略歴:廣木明子 p.363
奥付 p.364
◆売れるストーリー&キャラクターの作り方
◆クリエイターのためのストーリーの作り方
◆どんなストーリーでも書けてしまう本
【蛇足】かなり面白い分析ツールなので雑感を書いてみる。
まず、大ヒット作品は『行って帰る』に集約される(ストーリーメーカー 創作のための物語論)とした、冒険もの・RPGに多いストーリータイプは『金の羊毛』です。いわゆる『ロード・ムービー』で、スターウォーズ、ロード・オブ・ザ・リング、ロッキーなども入る、使い勝手がよくジャンルの幅も広いタイプで、ヒット作が集中している一番のストーリータイプになります。
『ブレイク・スナイダー・ビート・シート』と『プロットの13フェイズ構造』(売れるストーリー&キャラクターの作り方)はかなり似通っている。そして長編ストーリーはそれを『入れ子構造』にすることで尺を伸ばすと分かっています。ブレイクのおかげで10パターンにストーリーバリエーションが増えました。それを元に長編マンガ・アニメを分析すると面白いことになる。まさにみんながやっている(似通った作品を観まくってパクる)「ズルをするのだ」です。
『名探偵コナン』毒薬で小さくなった身体を元にもどす旅は『金の羊毛』で始まる。当然、探偵ものなので『なぜやったのか』で各話推移するし、黒の組織との大きな流れも秘密のカードをめくるように進んでいく。
やはり脱帽するのが『鋼の錬金術師』エルリック兄弟の失った身体をとり戻すためと始まるので『金の羊毛』。と同時に母親の復活を願い錬金術という魔力を手に入れたので『魔法のランプ』のWストーリータイプで連載第一回になっている。兄弟とウィンリィの関係は『相棒愛』。賢者の石→ホムンクルス→国家錬成陣の流れは『なぜやったのか』。チャッカマン大佐と軍上層部の争いは『組織のなかで』。ホーエンハイムと不老不死については『人生の岐路』。これだけ各ストーリータイプが組み込まれていれば、誰が読んでもハマるストーリーになります。
あと、エニアグラムの9つの囚われに当てはまるストーリーがいくつかある。全てあるかは議論して詰める必要があるので一人では無理ですが・・・でも1つ多いよな、まさか無いとされる10番目があるのか?