マンガで食えない人の壁

 漫画雑誌でデビューして、連載作家を続けていくには何が必要か?を13人の漫画家・原作者に聞き取り調査したインタビュー集。

マンガで食えない人の壁マンガで食えない人の壁

 1971年デビューの『すがやみつる』、1979年デビュー『野間美由紀』の大ベテランを始め、少女漫画家・ギャグ漫画家・成年コミックのライターなど漫画業界全体を網羅する豪華メンバーです。

 大学で漫画を教えていたり、漫画教本(10年メシが食える漫画家入門)を出版していたり、漫画制作ソフト(コミPo!)を開発していたりと、何とかして後進を育てようしている方たちが多い。

 また、300ページで1050円と良心的な価格で、文章量も多く読み応えがあります。

 とくに、圧倒的な画力がなく、考えすぎて立ち止まってしまうタイプの人は、すがやみつる、田中圭一、鍋島雅治の各章に当てはまるアドバイスが見つかる。

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ポートフォリオ見本帳

 クリエイターが仕事を取ってきたり、就職するさいに見せるポートフォリオ。その具体的な作り方と、実際に使われたポートフォリオの見本44点を写真で掲載。

ポートフォリオ見本帳クリエイティブ業界を目指す人のための ポートフォリオ見本帳

 第1章「ポートフォリオを作る目的」は、ポートフォリオ提出から採用までの流れや、各業界の概要の説明になります。

 2章「ポートフォリオ実例44選」がメインです。4つの業界(グラフィックデザイン、Webデザイン、ゲーム、CG&映像)ごとに採用した企業と、その時のポートフォリオの中身がわかる写真。何を載せ、どこをアピールしたか?などの実例集になっています。

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人気「美姫」絵師に聞いてきた彼らが巧くなった理由

 イラストレーター6名に、絵が上達する方法をアドバイスしてらう、絵師のためのインタビュー集。

人気「美姫」絵師に聞いてきた彼らが巧くなった理由人気「美姫」絵師に聞いてきた彼らが巧くなった理由

 イラストレーターや漫画家として活躍する絵師6人(カントク、小梅けいと、和遥キナ、深崎暮人、三嶋くろね、H2S04)、順番に1人1章でQ&A形式にて掲載されています。カントクが最多68ページで、他の方は10~20ページほどになる。

 インタビュアーも絵師で、かなり突っ込んだ的確な質問を、根掘り葉掘り訊いていきます。「絵を描くのって、実は楽しくないんです」という回答をプロから引き出している。上辺だけの取材では決してありません。

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小池一夫のキャラクター新論

 劇画村塾で「漫画は7ページでキャラを起てろ」と教えた小池一夫先生が、インターネット時代におけるキャラクターの特徴とキャラの起て方を説く。

小池一夫のキャラクター新論小池一夫のキャラクター新論 ソーシャルメディアが動かすキャラクターの力

 「マンガ=キャラクター」というキャラクター原論3部作(キャラクターを創る・動かす・活かす)があります。根本は30年前と変わらないけど、インターネット時代になりブログやツイッター、pixivなどの発表の場が増えて、新しいキャラの起て方も出てきました。それをプラスしたキャラクター新論です。

 実は付録DVDのニコニコ動画、小池塾長と弟子のさくまあきら「桃太郎電鉄」・山口貴由「シグルイ」との対談が一番面白かった。劇画村塾などの昔話に花が咲き、画質音質の悪さに目をつぶっても一見の価値があります。

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石ノ森章太郎のマンガ家入門

 漫画家『石ノ森章太郎』の自叙伝。そして漫画家を志す少年に向けた入門書。

石ノ森章太郎のマンガ家入門石ノ森章太郎のマンガ家入門 (秋田文庫)

 1965年発行の「マンガ家入門」と翌年の「続マンガ家入門」を再編集した『石ノ森章太郎のマンガ家入門』(1988年発行)の単行本を、さらに文庫本化したものです。

 「マンガ家になるにはどうしたら良いですか?」という質問に答えるべく、ジャンル・ストーリー・テクニック、さらには心構えや・デビュー方法・スランプ克服・マンガ家生活(健康)にいたるまで真摯に語られています。また、マンガ家=石ノ森先生自身のことでもあり、自伝にもなる。

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人を惹きつける技術

 『キャラが起つ』という言葉を世に広めた劇画村塾の小池一夫塾長による、売れる漫画の創り方入門です。

人を惹きつける技術人を惹きつける技術 カリスマ劇画原作者が指南する売れる「キャラ」の創り方(講談社+α新書)

 キャラクターというフィルターを透して世の中を見れば、人間関係やビジネスに役立つことがある。と色気を出した書き方をしていますが、大半は『漫画(=キャラクター)の創り方』の話をやさしい語り口で教えてくれます。多くの漫画家を輩出した劇画村塾(Wikipedia)が会社化され、塾長の手を離れたことで、そこで教えられてきた講義の一部が本になったといえる。

 ここ数年、漫画専門学校などの講師本がたくさん出ました。特にストーリー系となると、ハリウッド映画の脚本論まで出てきて複雑になりがちです。ところが小池塾では『漫画=キャラクターだから、まずキャラを起てろ』の一本道になる。漫画を描かない、でも漫画を深く知っている、漫画原作者だからこその整理された思考です。

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マンガ脳の鍛えかた

 ベテランから若手まで『週刊少年ジャンプ』を支えてきた漫画家たちのインタビュー集。

マンガ脳の鍛えかたマンガ脳の鍛えかた 週刊少年ジャンプ40周年記念出版

 2008年にジャンプ刊行40周年で本誌に月一連載された12回(12人)と、2009年にインタビューした11人、アンケートした14人のジャンプ作家37名の豪華なインタビュー本です。

 返答が皆個性的で、漫画家というよりはジャンプ作家であることへの心構えというか、精神論的な話が多いように思いました。でも仕事場や机上、ネームやプロットの写真が400点と豊富で、描き方・テクニック的なところも学べます。

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10年メシが食える漫画家入門

 ジャンプやアフタヌーンで連載を持つ現役最前線の漫画家が書いた、連載漫画家になるためのノウハウ本。

10年メシが食える漫画家入門10年メシが食える漫画家入門 悪魔の脚本 魔法のデッサン(アフタヌーン新書 9)

 ジャンプでデビューし、アシスタントを経て連載漫画家になった著者が、次の連載までの準備期間に志願して専門学校講師をした時の内容をまとめたもの。自らの体験に基づいた経験則が多く、実践的な連載原稿の描き方になります。ただ、それだけに噂に近い話まで断定的な物言いになり、「ペロ」という猫キャラに補足説明させている。

 前半の「悪魔の脚本術」は、ページ制約のある商業漫画で上手く読者を引き込むコツを述べている。現在の雑誌毎の傾向、とくに「ジャンプ」「マガジン」「アフタヌーン」の攻略法は具体的でした。他は書き方が違っていても、今まで紹介した参考書に散見する内容が多かった。とくに起承転結を3つにする話は「マンガ原作の書き方 77の法則」にもあって、早く読者を掴まないといけないことが分かる。

 後半は「魔法のデッサン」作画についての話で、主に円パースの描き方です。パースの一点二点三点透視図法の先、目で見わたせる範囲『視界』を考えてのパース塾になります。他、シワの描き方、空気遠近法、デフォルメの仕方など、実践でつまずく作画術をピックアップしている。


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マンガ原作の書き方 77の法則

 マンガ原作者として20年以上活躍し、また後進の指導もしている著者が書き出した、マンガ原作についての77の法則集。

マンガ原作の書き方77の法則マンガ原作の書き方 入門からプロまで77の法則

 短編読み切りから、長期連載モノまで、1200話を超えるマンガ原作を書いてきた著者が悩み、試行錯誤をくり返した結果、導き出されたマンガ原作の法則です。商業誌に載るマンガとして気をつけること、やってはいけないこと、またセオリーとも云うべき守った方が良いパターンなどが挙げられています。

 77の法則のうち大半はストーリーについてです。限られたページの中で物語を収め、読み続けてもらう為に必要なストーリーやキャラクターのテクニック集にもなる。『マンガ原作』専門で持ち込みしたり、短編読み切りでストーリーがまとまらない人に良く効きそうな法則が多くあります。

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アイデアのつくり方

 米国の広告業界で成功し、ビッグネームのまま引退することができた著者による、アイデアの作り方・ネタの出し方を経験則からまとめた本。

アイデアのつくり方アイデアのつくり方

 ほんの100ページそこそこの小さな本です。原書は1961年と古典になる。後半に竹内均(科学雑誌ニュートン元編集長)が解説していて、まえがきまで抜けば、本文50ページもないような本です。でも、そこにアイデアは天から降ってくるモノではなく、一定の手順を踏むことによって得られるものだ!と教えてくれます。何某かの成功体験がある人は納得する話かと思う。

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