ゲームシナリオのためのファンタジー物語事典

 ストーリー作りの元ネタとして使われてきた多くの名作(神話・伝説・古典的な作品・歴史上の有名人の伝記など)を、主役・悪役・脇役・テーマごとにまとめて分類したキャラクターストーリーのネタ帳です。

ゲームシナリオのためのファンタジー物語事典ゲームシナリオのためのファンタジー物語事典: 知っておきたい神話・古典・お約束110

 全部で110項目、6章構成になります。1項目は1作品の紹介です。簡単なあらすじと、創作において広く応用が効く、エッセンスともいえるアイデアを取り出して解説します。

 第1章と2章は、主人公についてです。1章は「主役の人物像」を取り上げます。主人公が持つ魅力的なキャラクター性・性格・能力、または欠点やコンプレックスについての考察です。

 2章は「主役の行動」について、主人公の目的や成長の過程、何をするべきか?物語の展開の仕方について考えます。特に主役は悲劇や間違った行いであっても、読者が納得できる行動をしなければなりません。


ゲームシナリオのためのファンタジー物語事典(SBクリエイティブ)

 3章「脇役は曲者揃い」は、助演、いわゆるキャラクター論でいう「主役を助ける者」たち全般です。役の幅も広く何でもありですが、主役との比較で、主役にはない魅力・しない行動でサイドストーリーを盛り上げます。

 4章「敵役の魅力」は、悪役・ライバルについてで、必ず主役と対立します。「脇役」の一種とされていますが、メインストーリーで主役と対峙する必須の役で、主役とセットで創られるべきです。

 5章「物語のモチーフ」は、物語のテーマに直結する要素で、カタルシスの素にもなります。

 6章「グループの命名」は、1~5章(100項目)の作品紹介と変わって、「四天王」のような数字にまつわるグループの呼称についての説明です。数字は2~10と12になります。

 ラノベを筆頭に、そのまま作中で語られる名作から、耳慣れない作品まで幅広く紹介されます。また、どんな大作であっても2ページの制約のある解説となり、ピンポイントでキャラクターストーリーをとらえている感じです。

 それだけに著者の物語に対する知識量と、作品の切り口に依存した解説になっている。読み物としては面白く、興味深い内容です。ただ、ここまで来ると「事典」というより「作品紹介集」に近く、すぐに何か調べられるという機能がないような……一つでも琴線に触れる物語が拾えれば好いかと。

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ISBN-13: 9784797373202
▼目次(ゲームシナリオのためのファンタジー物語事典 知っておきたい神話・古典・お約束110)
はじめに:山北篤 p.3
本書の概要 p.4-5
もくじ p.6-16

第1章 主役の人物像 p.17
001 ヘラクレスの12の難題 p.18
002 アリスと冒険 p.20
003 アーサー王とユーサー王 p.22
004 ドン・キホーテ p.24
005 オーディンの修行 p.26
006 さまよえるユダヤ人 p.28
007 アポロンとアルテミス p.30
008 ジョニー・アップルシード p.32
009 トールの剛勇 p.34
010 ブラダマンテとルッジェーロ p.36
011 ジャンヌ・ダルクと活躍する美少女 p.38
012 ホーンブロワーと海洋冒険小説 p.40
013 シャーラザッドの偉業(アラビアンナイト) p.42
014 シラノ・ド・ベルジュラックの愛 p.44
015 ジーキル(博士)とハイド(氏) p.46
016 鉄腕ゲッツ p.48
コラム:神話と伝説と昔話 p.50

第2章 主役の行動 p.51
017 アンドロメダの危機と恋 p.52
018 トリスタンとイゾルデ p.54
019 さまよえるオランダ人 p.56
020 ロミオとジュリエット p.58
021 テセウスとアリアドネの糸 p.60
022 ソロモン王とシバの女王 p.62
023 ハムレットの選択 p.64
024 ハムラビ王と正義の法典 p.66
025 エドモン・ダンテスの選択(岩窟王:モンテ・クリスト伯) p.68
026 名探偵シャーロック・ホームズ p.70
027 レッドバロン p.72
028 キンメリアのコナン p.74
029 怪傑ゾロの正体 p.76
030 ウラノス→クロノス→ゼウス p.78
031 パーシヴァルと聖杯探索 p.80
032 ターザンの孤独 p.82
033 ジャン・バルジャンの改心 p.84
034 ダイダロスと発明 p.86
035 プロメテウスの肝臓 p.88
036 ワイアット・アープ p.90
037 クーフーリン p.92
038 ベーオウルフの死 p.94
039 菊花の約 p.96
040 アルゴナウタイ p.98
コラム:教養小説からRPGへ p.100

第3章 脇役は曲者揃い p.101
041 スウェーデン国王ベルナドット p.102
042 シャルルマーニュ(カール大帝)の騎士たち p.104
043 アレクサンダー大王の変貌と本質 p.106
044 プレスター・ジョンと理想の国 p.108
045 聖パウロの回心 p.110
046 ギャラハッド卿と危険な席 p.112
047 ディートリヒ・フォン・ベルンの騎士たち p.114
048 ボーディケアの戦争 p.116
049 ガウェイン卿と弟たち p.118
050 不敗のダヴ― p.120
051 ランスロット卿とグィネヴィア王妃 p.122
052 ワイナミョイネン p.124
053 モーセの十戒 p.126
054 フィン・マックールと3人の妻 p.128
055 ロビン・フッドと仲間たち p.130
056 ダンテとベアトリーチェ p.132
057 トロイアのヘレネ p.134
058 カルメンの自由 p.136
059 クレオパトラの外交 p.138
060 カサンドラの予言 p.140
061 聖母マリアとマグダラのマリア p.142
062 ローゼンクロイツの伝説(薔薇十字団) p.144
コラム:駄作を読むことの薦め p.146

第4章 敵役の魅力 p.147
063 ロキの裏切り p.148
064 ダビデとサウル王 p.150
065 ドラキュラの傲慢 p.152
066 アル・カポネの商売 p.154
067 ジル・ド・レエの堕落 p.156
068 ピサロの征服 p.158
069 デイビー・クロケットと金太郎 p.160
070 ドン・ファン p.162
071 ラスプーチンの権力 p.164
072 20世紀最大の魔神(魔術師アレイスター・クロウリー) p.166
073 ルパンの手口 p.168
074 エイハブ船長の狂気 p.170
075 黒髭の海賊業経営 p.172
076 ナルシスの病 p.174
077 悪女アンジェリカ p.176
078 エリザベート・バートリと血の風呂 p.178
079 クリームヒルトの復讐 p.180
080 サムソンとデリラ p.182
081 聖書のサロメ p.184
082 サロメとヨハネの首 p.186
083 アダムとリリス p.188
コラム:ホトトギスのキャッチフレーズ p.190

第5章 物語のモチーフ p.191
084 アリババと40人の盗賊 p.192
085 トロイア戦争 p.194
086 イスカリオテのユダ p.196
087 タンタロスの渇き p.198
088 ファウスト伝説 p.200
089 カインとアベル p.202
090 キャプテン・キッドの宝 p.204
091 リア王の娘たち p.206
092 ドワーフ(ニーベルンゲン)の指輪 p.208
093 ほらふき男爵 p.210
094 レンミンカイネンの誓い p.212
095 ウィリアム・テルの2本の矢 p.214
096 フランケンシュタインの孤独 p.216
097 オデュッセウスの彷徨 p.218
098 シンドバッドの航海 p.220
099 パンドラの箱 p.222
100 背教者(ローマ皇帝)ユリアヌス p.224
コラム:無名の物語と名のある物語 p.226

第6章 グループの命名 p.227
101 双璧と陰陽 p.228
102 三銃士と三賢者 p.230
103 四天王 p.232
104 五行と聖痕 p.234
105 六歌仙 p.236
106 セブンシスターズとギリシャ7賢人 p.238
107 八犬士と八卦 p.240
108 9偉人と九曜 p.242
109 十戒と10支族と真田十勇士 p.244
110 12使徒と12神 p.246

参考文献 p.248
索引 p.250-254
著者:山北篤/ イラストレーター:池田正輝 p.255
奥付 p.256

クリエイターのためのファンタジー大事典
ゲームシナリオのためのファンタジー事典
クリエイターのためのストーリーの作り方

▼コメント
観察眼さん 2014/05/27 23:18 編集
そこそこ共感できたが、一方で
どこかでみた様なありきたりな設定で斬新さ欠如してしまう危険性もあるね。
どこかで見た記事に、常識通りじゃ面白くないって聞いた事がある。ほとんどの人が経験した話よりも常軌を逸脱している方が展開が読めなくて面白いんだそうだ。
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