水彩画を描くきほん
透明水彩絵具で人物・キャラクターイラストを描くための水彩画の技法書です。
第1章「基本は透明水彩テクニック」で、水彩塗りに必要不可欠な基本テクニックを4つ(平塗り/にじみ・ぼかし/かすれ/洗い出し)あげて丁寧に解説します。つづいて実践的な表現技法(ドロッピング・スパッタリング/マスキング)の紹介です。特に多重マスキングによる発光表現の技法は、水彩らしからぬ効果があります。
2章「いっぺん試してみよう水彩画材・道具」は、描く場所(野外スケッチや屋内作業)とか、描くモノの表現方法によっても変化する、多種多様な水彩画材の紹介です。水彩用紙・絵具、筆、ペン類、パレットの使用解説と、メイキング掲載の絵師10名が実際に使っている画材を写真付きで公開しています。
3章「水彩メイキングと水彩ギャラリー」は、著者が選んだ水彩絵師10名のメイキング集です。一人あたり2~4ページのメイキングにギャラリーが付きます。絵師の画材・技法についての解説と、著者(三澤寛志)による作品の見どころコメントも付いています。
4章「ミギー水彩 制作現場とメイキング」は、別格の扱いでイラストレーターミギーさんに依頼した、描き下ろし作品のメイキングリポートです。オーダーは小中学生くらいの少年少女で、水彩のにじみの美しさ・広がりを生かした作品となります。「水彩らしい水彩を描くために」にじみの試し塗りをしてみせ、輪郭線を決めるペン類の違いを比較したりと、テクニックを細説されています。
■水彩画を描くきほん 人物画からキャラクターイラストまで(ホビージャパン)
『水彩』の技法書というと、野外スケッチ・写生大会と結びついて、主に風景を描いたものしかレビューしたことがありません。そこにリアルな人物画と、想像で描くキャラクターイラストに的を絞って水彩の塗りを解説していて新鮮でした。
人物画の範囲も限定して、線画についての「人体デッサン」などは盛り込まず、「水彩の塗り」だけに特化していて良いです。
やっぱりデジタル作品の『水彩』は、水の影響を受けないレイヤーで区切っている時点で『水彩風』なのだと。アナログで、水が染み込む前提の用紙や絵具の溶け具合から解説されると、にじみとか違って見えてきます。また透明水彩の壁となっている「肌色」と「輪郭線の処理」についても具体例があり、これらはデジタルでも参考になるでしょう。
ISBN-13: 9784798607924
▼目次(水彩画を描くきほん 人物画からキャラクターイラストまで)
メイキングに見る水彩の4つの基本テクニック p.2
もくじ p.6
第1章 基本は透明水彩テクニック p.7
透明水彩の基本テクニック
1.平塗り p.8
2.にじみ・ぼかし p.14
3.かすれ p.22
4.洗い出し p.26
水彩の実践テクニック
1.ドロッピング、スパッタリング p.30
2.マスキング p.34
画面に豊かな表情を与える「テクスチャ」 p.40
第2章 いっぺん試してみよう水彩画材・道具 p.41
『今から揃えよう!はじめに持っておきたい水彩画材・道具』(水彩マンガ) なまえ作 p.42-46
水彩を面白くする水彩紙 p.47
作品イメージを方向づける鉛筆・ペン類 p.52
絵具の基本は透明水彩絵具 p.54
運ぶ・混ぜる・描く筆 p.57
水彩メイキング作者の画材・道具を大公開! p.64
第3章 水彩メイキングと水彩ギャラリー p.69
1.efira作『白いドレスの少女』 p.70
2.矢那恋汰作『秘密ごと』 p.74
3.ヒゾノミホ作『POP』 p.80
4.にび作『息』 p.86
5.稲空作『専属モデル』 p.92
6.九花きゅう作『ひまわり』 p.98
7.葬蟻作『リンネ・ダーウィン』 p.102
8.朱華作『鳥かごの夜』 p.108
9.muttiy作『哀の獄』 p.114
10.星草作『龍華』 p.120
第4章 ミギー水彩 制作現場とメイキング p.123
水が描くファンタジーの世界にようこそ p.124
ミギー水彩メイキング1~4 p.128
ミギー作『秘密』 p.135
奥付 p.136
著者:三澤寛志(みさわ ひろし)/ 編集:角丸つぶら(かどまる つぶら)