なぜ自信が持てないのか自己価値感の心理学

 「自分には、そのままでも真に価値があるという感覚」が『自己価値感』です。この人格の根幹をなす『自己価値感』がどのように育ち、一生をどう左右するか?について、心理学の立場から解説します。

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なぜ自信が持てないのか 自己価値感の心理学 (honto)

 序章は、自己価値感とは何か?その概略を簡単に説明します。第1章は、自己価値感と自己価値感、自信のある人・ない人という表面的には見分けがつきにくい、心の動きを解説します。

 2章は、自己価値感が正常に育った健康な心を幼児~青年期まで通して述べます。3章は、心が傷つき自己無価値感におちいる養育環境、(主に親がもたらす)根本原因について1つ1つ挙げていきます。

 4章は、無価値感人間になってしまった象徴的な実例4パターン(依存症・自己チュウ・引きこもり・自殺)を紹介します。5章は、自己価値感にとってマイナスに働く日本社会(一人っ子・負け組を生む学校・女性らしさ・独裁を好む民主主義)に注意を促します。

 6章は、無価値感から脱して自己価値感覚を修復し、持続する幸福感を得る方法について、努力の方向を示します。


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あなたは自分の価値を認めることができますか?―『なぜ自信が持てないのか』 根本 橘夫(考えるための書評集)

 自己価値感には、自信・自尊心・有能感・自己肯定感といったポジティブな思考が含まれます。逆にこれが(虐待・いじめ・失恋・リストラなどによって)傷つくことで自己無価値感が生まれ、ネガティブな思考の元になります。

 「自己価値感」は、心のなかに育つ木をイメージすると理解しやすいです。苗木から枝葉の1、2本が折れても大丈夫な樹木に成長する第一段階、それが幼児期から児童期の初め(5~8歳まで)にあります。ほぼ両親との関係性で決定されます。

 その後、青年期まで成功や失敗の経験をくり返して大木になります。大木になれば、どんなに傷ついても自己価値感が消えることはないので、ひたすら育って巨木となって一生を終えることができるでしょう。

 感想としては子育て中の親ならともかく、まず本人にとっては手遅れです。屈折した心の修復についても容易なわけもなく、具体的にどうすれば・・・という感じで終わります。とわいえ、自分の子ども時代を思い出して、ダメっぷりをエグッてくれて、なんかスッキリしました。

 ただ引いてみれば、魅力的なキャラクター性は無価値感のある人にしか居なくないか?無価値感の人どうしで共感し独裁者を生む様に、支持されるキャラには欠点・欠陥がないとドラマにならないでしょう。中二病なんてそのまま無価値感を妄想で埋める行為です。

 また、キャラクターの生い立ちから矛盾なく人格・性格を組み立てる指針にもなっています。

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ISBN-13: 9784569690742
▼目次(なぜ自信が持てないのか 自己価値感の心理学)
はじめに p.3-5
もくじ p.8-16

序章「自分の価値」をどう感じるか p.17
自己価値感とは何か p.18
心の深層と表層 p.19
深層の自己価値感 幼児期の環境 p.20
表層の自己価値感 児童期以降 p.22
人は自己価値感を求める p.23
「たら」「れば」 無価値感を埋める心理 p.24
競争意識の過剰な人ほど自信がない p.25

第1章自信が持てる人、持てない人 p.29
「存在への自信」と「能力への自信」 p.30
なぜ優等生でも自信が持てないのか p.32
決断できる人、優柔不断な人 p.33
傷つきにくい人、傷つきやすい人 p.34
「あるがまま見る人」と「歪めて見る人」 p.36
「したいからする」と「すべきだからする」 p.38
楽しい努力ができる人、苦しい努力しかできない人 p.39
「自分は自分」と「人の目が気になる」 p.43
愛される人、疎んじられる人 p.45
「現実を生きる」と「かりそめを生きる」 p.49
自分の人生・後悔の人生 p.50
本人が気づかない心の屈折 p.52

第2章自己価値感はどのように育つのか p.55
1.健康な心とは何か p.56
精神分析から行動主義的心理学へ p.56
人間性心理学とカウンセリングの発達 p.58
健全な心は自然に育つ p.59
欲求の段階的高まり p.61
2.幼児の心が育つ三つの条件 基底的自己価値感の形成 p.63
安心を与えられること p.64
適合性の感覚を与えられること p.66
歓迎されている実感を与えられること p.67
子育てを楽しむこと p.69
3.青年期までに発達する自己価値感 p.71
達成の喜びを体験する p.71
人のために役立つこと p.74
仕事を持つ p.75
友人関係 p.76
恋愛体験 p.77
結婚生活と子育て p.78

第3章あなたが自己無価値感に苦しむ理由 p.81
1.自己無価値感に陥る根本原因 p.82
乳幼児期からはじまる p.82
親と子の不幸な関係 p.84
2.自己無価値感をもたらす養育環境 p.89
多忙さと生活の厳しさ p.89
未熟な親 p.92
不仲な親 p.95
暴力的な父と耐える母 p.97
要求が高すぎる親 p.98
完璧であろうとする親 p.100
ダブル・バインド(二重拘束)の親 p.102
過度の願望を託す親 p.104
自己無価値感の強い親 p.106
子どもを無力化する過保護、過干渉な親 p.107
論理や特権で丸めこむ親 p.111
虐待される子ども p.114
遺伝的な素質について p.117
3.自己無価値感を強めるもの p.118
競争の敗者と勝者 p.119
容貌が自己価値感に作用する p.121
無価値感をもたらすショッキングな出来事 p.125
「外に出す自分」と「内に秘めた自分」のギャップ p.127
自己価値感を守ろうとする反抗期 p.131
反抗期は親子が発達を遂げるチャンス p.132

第4章無価値感に翻弄される人びとの病理 p.135
1.買い物依存症 p.136
【Y子の場合】モノを買う高揚感がたまらない p.137
【分析】親にも夫にも上手に甘えられない不幸 p.140
2.「自己チュウ」人間 p.142
【A子の事例】自慢と誇張に満ちた言動 p.142
【分析】敗北感を埋めようとした母親 p.144
両親から無条件の受容が奪われた子ども p.146
3.引きこもり p.148
【U男の事例】優等生の転落 p.149
【分析】感情の激しい母と一歩引いて見守る父 p.151
4.自殺 p.153
【T子の事例】何を考えているかわからない子 p.154
【分析】周囲を振り回すことで愛情を欲する p.156

第5章自己価値感をおびやかす現代社会 p.161
1.低下する自己価値感 p.162
「ぼんやりとした不安」の大衆社会 p.162
機械に振り回される人間 p.163
マスメディアの発達 p.165
自然との乖離 p.166
核家族化 地域社会との断絶 p.166
競争によるストレス社会 p.168
2.日本文化と自己価値感 p.170
自己価値感に不利な日本文化 p.170
自己価値感が低い日本の子ども p.172
3.学校が自己価値感をおびやかす p.175
自己価値感を奪う学校 p.175
なぜ、学校が不利に働くのか p.177
自己価値感を高める学校に p.183
4.なぜ女性は自己価値感を持ちにくいのか p.188
男子より低い自己価値感 p.188
女性にとって身体はイライラの対象 p.190
女性の容貌と自己価値感 p.192
5.民主主義と自己価値感 p.196
自信がない人ほど独裁者を支持する p.196
自己価値感が政治の腐敗を見破る p.198

第6章自己価値感を修復する実践法 p.201
1.自己価値感人間への五段階 p.202
無価値感人間から脱皮するプロセス p.202
自分と自分の人生を受け入れる p.205
2.無価値感を埋める努力でなく、幸福である努力を p.208
大事なのは努力の方向 p.208
心を通わせ自分なりの楽しみを見つける p.209
自分の感覚や感情を素直に信頼する p.211
友情を大切にする p.212
愛情を深める p.214
仕事に打ち込む p.215
良き相談相手を持つこと p.217
生活の修正で乗り切る p.219
3.自己価値感を得る技術 p.222
自分の良いところを見る p.222
ほめ言葉を素直に受けとる p.224
自己暗示をかける p.225
4.子どもの自己価値感を育てるには p.230
親が心がける八つのポイント p.230-234

奥付 p.237
PHP新書刊行にあたって 1996/10 p.238

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