絵本画家天才たちの競作集
19~20世紀に印刷技術が発達して、絵本の挿絵もモノクロからカラー印刷に移行して黄金期を迎えた。その期間に活躍した絵本画家30人の特徴ある絵柄を紹介します。
前半は、名だたる挿絵本の画家30名を挙げ、生い立ちや画風・評価などの略歴と、数点のイラストで紹介。ただし「エドマンド・デュラック」と「メイベル・ルーシー・アトウェル」は著作権の関係で引用(イラストが白黒カット1枚)になっています。
後半は、「不思議の国のアリス」「アーサー王物語」などの童話作品ごとに、それぞれの挿絵を集めて見比べる企画です。同じ作品でもシーンのとらえ方の違いや、画風から来る印象で変わっている。
ルネサンス期の絵画の巨匠よりは、この時期の挿絵・イラストレーションの方が、絵柄の参考になります。また、木版画技術の発達により複雑なモノクロ印刷→カラー化→写真製版そして本格カラー印刷→イラストの線が細くなって光影・質感が写実的になる方向性も、今に通じる。
この百年前のブームの最後は、戦争で市場そのものがペシャンコになるのだけれど、モノクロ→カラー印刷(高コスト化、戦争で崩壊)/アナログ→デジタル化の違いはあれど、イラスト関係の印刷物が激減する流れは似ています。
その後の挿絵画家がアメリカに渡り映画の仕事(ディズニーアニメの美術監督)になったり、イラストレーターの生き残り術というか転職にも、いろいろありました。
やはり、腑に落ちないのが「エドマンド・デュラック」の著作権継承者が見つからず「引用」になったと序論にあるが、同年同月に刊行された「神秘なる挿絵画家エドマンド・デュラック」(マール社)もあって・・
ISBN-13: 9784404041128
▼目次(絵本画家 天才たちの競作集 永遠の巨匠30人の世界)
序論 挿絵本黄金期の天才たち 十九世紀から二十世紀に隆盛を迎えた、めくるめく豪華挿絵本の世界にようこそ!:新人物往来社編集部 p.2-3
もくじ p.4-5
第1章 30人の巨匠たち p.7
ウィリアム・ブレイク p.8
ジョージ・クルックシャンク p.10
ジョージ・グランヴィル p.12
オノレ・ドーミエ p.14
ジョン・テニエル p.16
リチャード・ドイル p.18
ギュスターヴ・ドレ p.20
ウォルター・クレイン p.24
ランドルフ・コールデコット p.26
ケイト・グリーナウェイ p.28
ハワード・パイル p.30
ルイス・リード p.34
ヘンリー・ジャスティス・フォード p.36
ウォーリック・ゴーブル p.38
ジェシー・ウィルコックス・スミス p.40
ビアトリクス・ポター p.44
アーサー・ラッカム p.46
ハーバート・コール p.50
チャールズ・ロビンソン p.52
オーブリー・ビアズリー p.54
ウィリアム・ヒース・ロビンソン p.58
エリナー・アボット p.62
メイベル・ルーシー・アトウェル p.64
ヨン・バウエル p.66
ニューウェル・コンバース・ワイエス p.70
エドマンド・デュラック p.72
ジョルジュ・バルビエ p.74
ウィリー・ポガニー p.78
カイ・ニールセン p.80
ハリー・クラーク p.84
第2章 巨匠たちの競作 p.87
神曲 p.88
ドン・キホーテ p.96
不思議の国のアリス p.102
マザー・グース p.112
アンデルセン童話集 p.120
グリム、ペロー、その他の童話 p.136
水の子どもたち p.164
アーサー王物語 p.170
真夏の夜の夢 p.180
アラビアン・ナイト p.186
奥付 p.192