マスターショット3 応用編

 望遠・広角レンズの効果的な使い方から、監督としてのスキルアップまで、実際の映画から100シーンを例に上げて解説します。キャメラワークの技術向上を目的にしたマスターショットシリーズの第3弾「応用編」です。

マスターショット3応用編マスターショット3 応用編 1つ上のクオリティを目指すための撮影術

 前の2作の内容をふまえた応用編となっている。前2作のショット解説の続きという形で、もうひと工夫したショットもあります。

 「マスターショット100」は、低予算でも見栄えのする基本の100シーン。「マスターショット2 ダイアローグ編」は、単調になりがちな会話シーンのバリエーションを増やすためのアイデア100パターン。そして本書「応用編」は、それらのシーンを創りだすための100のテクニック集です。

 カメラワークによって物語をどう掘り下げ、画面に映る感情をどうコントロールするのか?ショットデザインの方法論を記している。章だても、レンズの使い方・舞台設定・フレーミング・演出・ロケーションと美術・役者に依る芝居などと、カメラワークを中心に据えた技術面によって分けています。

 2ページで1ショット(1シーン)の解説はシリーズ通り。左ページがショットの技術的な解説、右ページは映画からのキャプチャーカットと、カメラ・演者の動き・位置関係を示した3D画像図です。



マスターショット3[応用編](フィルムアート社)

 実例として使われた映画は近年公開のモノを中心に29作品。選定はカメラの動きに関する5つのポイントを備えているか、です。1.登場人物の性格を的確に説明している/ 2.物語をしっかり伝えている/ 3.費用をかけている様に見せている/ 4.構築が容易である/ 5.あらゆるショットが順応性の高いものである(使い回しが効くもの)

 個人的には「レオン」の謎が少し溶けた。ストーリー・設定はよくあるギャングモノなのに、やたらキャラが起っていた印象なのは巧みなカメラワークだからと納得した。

 まさに「キャメラはシーンを記録する道具ではない、そのシーンにあるドラマや感情を翻訳するのだ」であります。

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ISBN-13: 9784845913190
▼目次(マスターショット3[応用編]
もくじ p.3-9
はじめに p.10-14
本書の使い方 p.15

CHAPTER1 ADVANCED LENSING レンズの使い方(応用編) p.17
遠距離から望遠レンズで狙う/ロング・レンズ・ディスタント p.18
近距離から望遠レンズで狙う/ロング・レンズ・クロース p.20
望遠レンズで静止した効果を狙う/ロング・レンズ・ステーショナリー p.22
望遠レンズで動きを狙う/ロング・レンズ・イン・モーション p.24
広角レンズで適切な距離感から狙う/ショート・レンズ・ディスタント p.26
近距離から広角レンズで狙う/ショート・レンズ・クロース p.28
広角レンズで静止した効果を撮る/ショート・レンズ・ステーショナリー p.30
広角レンズで動きを狙う/ショート・レンズ・イン・モーション p.32
標準レンズで狙う/ザ・ミディアム・レンズ p.34
レンズで切り取る/カッティング・ザ・レンズ p.36

CHAPTER2 ESSENTIAL MOTION 動きの必要条件を握る p.39
セットアップはシンプルにできる/ブレンディッド・モーション p.40
キャメラの動き/キャメラ・イン・モーション p.42
俳優の動きがキャメラワークを促す/キャラクター・ドライブズ・キャメラ p.44
回り込むキャメラ/リビール・ムーブズ p.46
キャメラと一体になる/ムーブ・ウィズ・キャメラ p.48
ストレートに迫る/ムーヴィング・ストレート・オン p.50
キャメラを横移動にする/ムーヴィング・サイドウェイズ p.52
1つのキャメラアングルから動く/ムーヴィング・アット・アン・アングル p.54
デリケートに動く/ショート・ムーブズ p.56
キャメラが弧を描く/ターンズ・アンド・カーブズ p.58

CHAPTER3 DEPTH STAGING 舞台設定を掘り下げる p.61
俳優が動く/キャラクター・ムーブズ p.62
フレームを横切る/クロッシング p.64
フレームを活かす/ムーブ・ドゥ・フレーム p.66
主観ショットを客観ショットに切り替える/ムーヴィング・ポイント・オブ・ビュー p.68
客観的なショット/ムーブ・トゥ・リビール p.70
写り込みを有効に使う/ムーブ・ウィズ・リフレクション p.72
反対方向に動く/リバースド・プッシュ p.74
ドリーの速度を決める/ベロシティ・ドリー p.76

CHAPTER4 EXPERT FRAMING フレーミングのエキスパートになる p.79
イマジナリーラインを超える/ライン・クロス p.80
横向きのショット/ブレイク・カット p.82
スピードの変化をつけてキャメラをパンする/パン・モーション p.84
通り抜ける/プッシュ・スルー p.86
斜めのアングルから撮る/リピート・アングル・プッシュ p.88
ティルトを効果的に使う/ティルト・リビール p.90
演技に呼応して回り込む/ロテイト・アウト p.92
効果的にシルエットを活かす/シルエット p.94

CHAPTER5 SYMBOLIC STAGING 象徴的に演出する p.97
双方向へ進む/ダブル・プッシュ p.98
登場人物に魅力を持たせる/マグネティック・キャラクターズ p.100
愛情を表現する/インティマシー・ブレイク p.102
ハイアングルから引っ張り込む/ハイ・ドラッグ p.104
存在感を切り替える/パワー・エクスチェンジ p.106
「ためらい」を撮る/インディシジョン p.108
2キャメラで撮る/アイソレーティング・プッシュ p.110
フィックスでグループショットを撮る/グループ・ブレイク p.112

CHAPTER6 PRODUCTION DESIGN AND LOCATION ロケーションと美術関係 p.115
エスタブリッシング・ショットは必要か?/アンチ・エスタブリッシュメント・ショット p.116
ナメを活かす/ダーティー・フレーム p.118
前景を活用する/エンリッチ・ザ・フォアグラウンド p.120
壁の位置をぬすむ/フェイク・ウォール p.122
越しに撮る/フレーミング・スルー p.124
窓枠を使う/フレーミング・フォーカス p.126
主人公の登場は鮮やかに撮る/パーソナル・リビール p.128
写り込みのショットをエスタブリッシングに使う/リフレクション・エスタブリッシュメント p.130
鏡を使う/リバース・リフレクション p.132

CHAPTER7 DYNAMIC ACTION ダイナミック・アクション p.135
動きの方向をシフトする/アクション・シフト p.136
そらしてから見せる/ミスディレクティッド・モーション p.138
キャメラを振り戻す/リターン・トゥ・サブジェクト p.140
ワイドレンズで押し込む/ポーズド・プッシュ p.142
人の流れに逆らう/プッシュ・アゲインスト・フロー p.144
円形移動にプラスアルファーをする/モーション・サークル p.146
180度、切り返す/コンベイング・スピード p.148
アクションで切り替える/ターン・カット p.150

CHAPTER8 SHOOTING PERFORMANCE 芝居を撮る p.153
シーンのふたを開ける/オープニング・ザ・シーン p.154
ボディアクティングで見せる/ボディ・アクティング p.156
クロースアップのコアを知る/コア・クロース・アップス p.158
超クロースアップで描く/エクストリーム・クロース・アップス p.160
キャメラアングルは語る/アングルド・トーク p.162
人物紹介のわざとらしさを避ける/スライド・イントゥ・シーン p.164
思いどおりに演じさせる/オウイング・ア・シーン p.166
横位置から撮る/パラレル・スペース p.168
登場人物の距離感を表す/セパレーティング・キャラクターズ p.170

CHAPTER9 CAMERA HEIGHT キャメラの高さ p.173
顔の位置から撮る/ヘッド・ヘイツ p.174
ダッチアングルで撮る/アングル・イントリュージョン p.176
キャメラハイトの重要性を知る/アングル・ヘイツ p.178
ローアングルから撮る/ダウン・トゥー・キャメラ p.180
エレベーターワークで撮る/フラッティング・ザ・ショット p.182
俯瞰から撮る/ハイ・アングル p.184
ローポジションから望遠レンズで撮る/モーションレス・ルックアップ p.186
顔を見切る/アンシーン・フェイス p.188
ローアングルで回り込む/ロー・スライド p.190
座る意味を知る/シーテッド・パワー p.192

CHAPTER10 COMPLEX CAMERA MOVES 複雑なキャメラワーク p.195
キャメラを回転させる/コンプレックス・スピン p.196
俳優を動かす/アクターズ・イン・モーション p.198
マスターショットにインサートする/カッティング・フロム・ザ・マスター p.200
空間をカーブする/ダイアゴナル・リビール p.202
ステディカムを使う/ロング・トラック p.204
ドリーを使って車内のシーンを撮る/ドリー・フレーム p.206
クロースアップまで押し込む/プッシュ・トゥ・クロースアップ p.208
ワイドショットからクロースショットへ向かう/ワイド・トゥ・クロース p.210
反対方向にスライドする/オポジング・スライド p.212
グループの動きを作る/グループ・イン・モーション p.214

CHAPTER11 THE ADVANCED DIRECTOR 監督として進歩する p.217
背景に動きをつける/ディープ・ブロッキング p.218
キャメラワークにはモチベーションが必要である/モチベート・ザ・キャメラ p.220
手持ちキャメラで撮る/ディベロッピング・モーション p.222
空間を上手に使う/メイキング・ユース・オブ・スペース p.224
人物の配置には気をつける/ロスト・ジオグラフィ p.226
登場人物の視点を撮る/キャラクター・ビュー p.228
ストーリーのポイントを絞る/ストーリー・ポイント p.230
シーンを演出する/シーン・ステージング p.232
シーンを視覚化する/ビジュアライジング・ザ・シーン p.234
現場で作る/クリエイティング・オン・セット p.236

おわりに p.238
訳者あとがき p.239
各テクニックの実例として使われた映画作品
アジャストメント/インセプション/A.I./X:MEN ファイナル ディシジョン/乙女の祈り/キャスト・アウェイ/ザ・ウォーカー/ザ・ファイター/ザ・ロード/しあわせの法則/17歳の肖像/シンドラーのリスト/スター・ウォーズ エピソード1/砂と霧の家/すべてはその朝始まった/ゼア・ウィル・ビー・ブラッド/戦火の馬/テラビシアにかける橋/ハード・キャンディー/ハリー・ポッターと死の秘宝PART1/ブラック・スワン/ブレード・ランナー/ベスト・キッド/メランコリア/ラブ・アクチュアリー/レオン/ロード・オブ・ザ・リング王の帰還/ロング・エンゲージメント/わたしを離さないで p.241
用語解説 p.242
著者:クリストファー・ケンワーシー/訳者:石渡均 略歴 p.247
奥付 p.248

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