ゲド戦記 絵コンテ
宮崎駿監督の息子、宮崎吾朗初監督作品、映画「ゲド戦記」の絵コンテです。
2006年の邦画興行収入1位を記録(約76.5億円)という数字をみれば、新人監督としては成功している。ただ、ジブリの目標は100億だったし、年々深刻化する宮崎駿監督の後継者を育てるという意味では遠かった。
付録の冊子によると、原作者から宮崎駿監督に制作依頼があり、ハウルで忙しかったため制作準備室みたいなものが作られ、その中心的役割を積極的にしたのが宮崎吾朗氏で、結果、絵コンテ制作そして監督に志願している。
初絵コンテなため、1カットずつ貼りだして組み替えながらストーリーを練るピクサー方式で、山下明彦氏と共同作業で組み立て描いています。にしても、シュナの旅を参考にしているとはいえ、吾朗監督の絵柄は父親に似ている。並んでいるジブリの絵コンテ全集として手に取っても違和感がない。それだけに天才宮崎駿監督との差を研究するのにもってこいの資料になります。
■ゲド戦記 (映画)(Wikipedia)
ISBN-13: 9784198621902
▼目次(ゲド戦記ジブリ絵コンテ全集15)
もくじ p.2
絵コンテの見方 p.4
用語解説 p.5
Aパート(カット1~380) p.7
Bパート(カット381~719) p.137
Cパート(カット720~1239) p.247
資料編 p.431
絵コンテと本編の違い(欠番一覧) p.432
STAFF&CAST p.433
DATA p.437
奥付 p.438
付録:月報2006年8月(冊子12ページ)
「ゲド戦記」の魔法 佐藤忠男 p.2-6 /映画「ゲド戦記」までの道 文責・スタジオジブリ p.7-12
◆スタジオジブリ 絵コンテ全集
◆ジブリTHE ARTシリーズ(背景画集)
◆シュナの旅
ここからは蛇足駄文になります。
この映画は冒頭からすぐに眠くなる。つまり、引き込まれる要素がなくて詰まらないのです。刊行されている他の絵コンテは連続した4コマ漫画をスルスル読むように、50ページ100ページ夢中で読めるが、ゲド戦記はすぐに飽きる。
冒頭、嵐の中2匹の巨大な竜がぶつかる迫力のシーン、イスタンブール模した都市に異国情緒ただよう王宮で、威厳ある王と重臣が国の危機を語るシーン、これはいずれも20年以上前のロードス島戦記が目新しかった時代ならともかく、ゲーム・アニメでやり尽くされた手法です。
そして王が刺される。王に護衛や従者がいないとか、刃物を持った者が突進してきて棒立ちとかの演出の疑問を我慢しても、王子が父殺しをする理由が語られない。魔法使いクモに操られて~とのことですが納得できない。
この物語は偉大な父親からの過度な期待と、母親の過剰な愛情で、閉塞感から心が歪んでしまった独りっ子の旅立ちと成長が軸になるかと思うのだが、説明不足が酷い。であるならば、冒頭はボロボロになって王宮からの追っ手に追いつめられるアレン、人買いに捕まりそうな子供と勘違いして助ける大賢人→追っ手の手練れ、アレンの帯剣から父殺しの王子と大賢人は悟るが、アレンが王殺しを納得できる身の上話をするか、大賢人も息子を追いつめ死なせた過去があるとかの伏線でも入れて、観客を納得させないと物語が進まないと思います。
といった具合に、原作も読んで絵コンテ書き換えるくらいに妄想(研究)するのに良い素材だ。