小説の書き方
高千穂遙先生が文庫本「銀河番外地1・2」のあとがきに、小説の新人賞選考について書かれているので参考にしてみます。
応募総数は300~500篇ほどで、編集部員や外部委託の人によって事前選考されます。最終選考には数編(約5~6)にまで絞られます。
まず「字が汚い」「誤字脱字が多い」「鉛筆で書かれている」で撥ねるそうです。ワープロが普及した今では字がキレイな人の原稿でも、長時間読むのはつらいそうです。素直にワープロで書きましょう。
全体の構成で「章」と「節」がわからなくなっている。最終選考の作品でもあるそうなので、作者はわかっているのでしょう。自分で気づくにはひと月かかるので、最初から「章」と「節」をきっちり立てて書きましょう。目安として、400~500枚の作品で7章くらい、1章60~70枚なので1節は10枚前後。とはいえ7枚でリズムが出る人もいるので、ここは読点と同じで感覚的です。自分のリズムが何枚なのか見つけましょう。ここは漫画と同じ、プロット立ててページふって、1ページ何コマがいいのか探す。とりあえず好きな作家のページを分解して章・節の配分を研究してみよう。
部分では場景描写が少ないこと。セリフと描写しかないのに、セリフばかりで繋げようとしている。漫画でいえば、ふきだし文字ばかりで絵がほとんどない漫画、よほどの大御所でもなければ読んでくれません。逆に絵だけの漫画、相当の技量がないと理解されません。いつもバランスが大事です。
特に小説は描写が重要。描写でキャラの容姿も、立っている風景も、その動きも表し、小説の中に世界を現さなければなりません。あと、ト書きとセリフだけで出来ている「シナリオ」とは根本的に違うので応用してはいけない。鉄則だそうです。
文でいくと記号の使いすぎに注意。「!」「?」「…(リーダー)」「―(ダッシュ)」さらに「!?」「☆」や「♂」「♀」「ハート」無くても文は書けます(完全になくすと気持ち悪いですが)。それより多用すると、表現力が身に付かない。ちなみに高千穂先生は、ハートや星マークを使っている原稿を見たら落選させるそうです。
ワープロの弊害として漢字が多くなる。漢字を多用しても時代モノやSFの格が上がるわけではありません。じつは、漢字・カタカナ・ひらがなの使い分けと読点の打ち方は、その人の感性によります。小説であれば気持ちよく読んでもらうのが目的です。読みやすさを基準に、自分なりのリズムや法則を作るのが文体になるのかもしれません。