原稿の書き方

 井上ひさし先生の作文教室から、原稿を書くのに役立ちそうなところを抜き出しました。

 井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室

 作文の秘訣は自分にしか書けないことを、誰にでもわかる文章で書くということ

 題名をつける時点で、三分の一以上は書いたことになる。

 「段落」は、ある考え方の「ひとまとまり」

 字引は必須、辞書なしで書くのは大作家でも無理。作家向けの辞書として「角川 必携 国語辞典」1995年、大野晋/著を薦めている。言葉の使い分けに優れている。

 文は「いきなり核心から入る」。脳の働きである短期記憶の容量に合うようにしないといけない。短期記憶の容量は驚くほど少なく、情報をだいたい10個以内しか持っていられません。時間にして20秒ぐらいで忘れてしまう。単語数で、7、8語にしかならない。それを整理して中期記憶、重要なものを長期記憶へと移して知識とする。

 短文をテンポよく読ませるのが解りやすい文で、長文は「何か」を意図しないと書いてはいけない。読み返さないと解らない文は、短期記憶に入りきらないとき。

 文は主語から削るのが鉄則。「私」「僕」といった自分を指す人称代名詞は、ほとんどの場合、要らない。日本語は主語を削るとテンポのよい文章になる。

 日本語は、言葉にすでに性別があるので「~と彼(彼女)が言った」とは書く必要がない。彼(彼女)は、明治以降に使われ始めた言葉です。

 文章に接着剤を使いすぎるな。接続詞「にもかかわらず」「ものの」「だけに」「うえに」「するいっぽう」「しつつ」。接続助詞「―ので」「―から」「―ために」。特に「―が、―」は、つながりがなくても、2つの文がそれらしく、簡単にくっついてしまう。しかも理屈っぽく、頭が良さそうな文に見えるだけ。

 「―と思う」「―かもしれない」「―という」「―に関して」「―について」は、ハッキリいわないで済ませる言葉だから、いかに使わないかが勝負。

 全部わかって書いている。というくらいで、考え・整理して書き始めて長期記憶からヒュッと意外なことが飛び出すと、面白い文章になる。わかっている事をパターン通りに書いては、読み手も書き手もツライだけ。

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