グリッドで背景を描こう

 パースではなくグリッドを使って背景を描く方法。風景をグリッド(格子状)に分割し、立方体を積み木のようにかさねて、箱庭を作るみたいに背景を埋めていきます。

マンガ背景技法グリッドで背景を描こう驚くほどうまくなる! マンガ背景技法 グリッドで背景を描こう

 ステップ1「基礎 世界の創造」では、グリッド空間の元になる正方形(平面)の分割と、立方体(一つ一つの積み木)に円錐・円柱・球を描く方法など、グリッド描画の基本を解説する。

 ステップ2「実践 グリッド空間と現実空間」は、格子状のグリッド線だけの空間に室内や建物を描き出すテクニックです。1マスを90cm×90cmとすれば日本人(の建築基準)サイズに合います。

 ステップ3「応用 背景描写で世界を語る」は、キャラクターの生活が見えるような内装・インテリアを描くアドバイス。ステップ4「演出 内面にまで迫る、背景のチカラ」は、さらに進んで描き込みのテクニックや、背景を使っての視線誘導、心理描写など。

 巻末は鼎談「やまむらはじめ(つねパンのアシスタント先)×菅野博之(監修者)×常野啓(著者つねパン)」になります。


マンガ背景技法 グリッドで背景を描こう(Comickers テクニックブック)(美術出版社)

 師匠つねパン(パンダキャラ)×弟子久世綾(女の子)コンビのマンガで、つかみや飽きさせない工夫がされているので読みやすい技法書です。

 昨今のパース本では、一~三点透視図法のあと、望遠レンズの奥行き圧縮とか広角レンズの歪みについて解説して行きます。でも本書はそちらに行かず、漫画の背景=パースの風潮はおかしい。建築の製図じゃないのだから、多少歪んでいても(気付かない程度なら)良いのだ!とします。

 透視画法(パースペクティブ)は近代になって広まった描き方です。中世ヨーロッパ以前の絵画や日本の屏風や襖絵、浮世絵などにあまり見られない。その特長は平面の絵に奥行きがあるように錯覚させること。

 壁面に掲げる大きな絵画ならともかく、雑誌ならB5判、コミックならA5判とかB6判しかないサイズでコマ割りまでされている漫画背景に、どこまで正確なパースを引く必要があるのか?むしろ、メカを描く方法にあった立方体を組み合わせた描き方、グリッド描画法の方が感覚的に描けて楽かもしれない。

 ただし、鼎談に出てくる「背景=パース」を広めた「AKIRA」大友克洋先生のような緻密な作画を求めるならパースの方が好いとも。つまり、見開き2ページの大コマとか風景だけで印象づけたいシーンなどはパースを使って、それ以外はグリッド方式で済ませてもいいんじゃないかという提言です。

 最後に、キャラ絵だけならイラストでも良いわけで、背景を描きたくなってこそストーリーや世界観のある漫画になる。「マンガを描くことはイコール背景を描くこと」という言葉が染みました。

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ISBN-13: 9784568505405
▼目次(驚くほどうまくなる! マンガ背景技法 グリッドで背景を描こう
もくじ p.4-5
つねパン登場!マンガ「グリッドって何?」 p.6-12

Step1 基礎 世界の創造 グリッド空間とは何か? p.13
グリッドで空間をとらえよう! 世界をつくる第一歩。1面を規定する p.16
内側の世界を描く 立方体の内側にある空間を把握せよ! p.20
基本形態を把握する グリッド感覚で、立方体、円筒、円錐、球を描こう p.24
回転する世界 方眼紙で実際に空間をつくり、撮影してみよう p.28
世界にモノを満たそう グリッド感覚は、人物にも応用できる p.30
練習問題1:空間にグリッドを引いてみよう p.32
練習問題2:平面からグリッド空間を立ち上げる p.34
コラムStep up!:グリッド空間を描くために、知っておくと便利なテク p.38
練習問題の答え p.40

Step2 実践 グリッド空間と現実空間 説得力のある背景を描くために p.41
モノの物差しは人間だ 大きさの基準をみつけて描こう p.44
想像できる形に落とし込む 写真をグリッド空間に置き換える p.52
グリッドから背景をつくり出す 写真をそのまま写さなくても描ける! p.58
コラムStep up!:マンガの背景に使える!階段テク p.60
コラムStep up!:基本がわかれば、ここまで描ける! p.62
コラムStep up!:それでもわからない、あなたのために p.64
ただの背景でいいの?マンガ「ワンランク上の応用編」 p.66

Step3 応用 背景描写で世界を語る マンガの世界観をもっと豊かに p.71
描きたいものを描くために リアルな設定は資料探しから p.74
そこにいる人の気配を表す 職業や年齢、性格なども伝えられる背景 p.82
意識的に風景を見る 街へ出たら、さまざまなものを観察しよう p.86

Step4 演出 内面にまで迫る、背景のチカラ 背景表現はこんなにも奥深い p.89
情報量のコントロール 下手に見えない、描き込みテクニック p.92
背景で視線を誘導する コマの読みやすさを意識して背景を描こう p.96
心理描写に踏み込む 背景はここまできて、本当の意味をもつ p.102
コラムStep up!:最後にもう一度、グリッドを描いてみよう! p.108
コラムStep up!:パースの話も少しだけ p.110

鼎談(ていだん) 背景とは何か? 表現の可能性とは? p.113
やまむらはじめ×菅野博之×常野啓
プロが語る、マンガの背景に求めるものとは? p.114
背景表現を極めよう!マンガ「おしまいに」 p.124
著者:常野啓 /監修者:菅野博之 p.127
奥付 p.128

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