人体解剖図 人体の謎を探る500年史
ルネサンス期に開放された人体解剖、それから5世紀におよぶ解剖図の進歩を、医学と美術の視点から探求する『人体解剖図』の全集。
巻頭から66ページまで、人体解剖図の歴史と各著作の概略があります。その後、人体解剖学の著作30冊ほど、刊行した年代順に図版を中心に解説されている。巻末はCTとMRIからのデータを可視化処理した画像です。
解剖図の名著は言い換えればショッキングな図版の登場でもあります。細かくリアルになるのもそうだし、眼球の分解、性器の解体、妊婦・胎児の解剖、両性具有なのもある。若い男性医師に伝えるが目的なのかも知れない。
長くキリスト教によって禁忌とされていた人体解剖がルネサンスの頃、復活した。限りある寿命、死への恐怖から人体への追求が始まる。死体を集め解剖するが、写真技術の登場まで、絵で記録し伝えるしかない。
解剖図には常に医者と芸術家の視点が入る。医者のスケッチを元に絵描きが清書したり、遠近法や印刷技術の発達で、よりリアルに、多くの人に解りやすく見てもらう工夫もされます。冷凍した遺体をスライスしたり、死体なのに生きている様子で描いたりとシュールですらあります。
写真だったらグチャグチャな処でも、人が描くことで整理されて、脳裏に届くリアルさを持つ。にしても、何千年も剣で殺し合い、斬首・串刺しの刑罰をしてきたのに、千年以上も人体解剖を禁止したという人の感情の愚かしさ。
ISBN-13: 9784576071855
▼目次(人体解剖図 人体の謎を探る500年史)
もくじ p.3
人体解剖図の歴史:ベンジャミン・A・リフキン p.4
『ファブリカ』ヴェサリウス p.67
『人体解剖図』エティエンヌ p.81
『人体解剖学』ワルエルダ p.93
『エウスタキオの「解剖図録」』エウスタキオ p.101
『人体構造図集』カッセーリ /『胎児の構造について』スピーゲル p.111
『人体解剖学』ビドロー /『人体の解剖学』クーパー p.129
『解剖標本集』ロイス p.151
『骨学図譜』チェセルデン p.161
『人体筋骨構造図譜』アルビヌス p.175
『人体臓器解剖図集』ゴーティエ・ダゴティ p.185
『分娩図解』スメリー /『妊娠子宮解剖図』ハンター p.193
『写生に基づく骨学筋学の新図集』ガムラン p.217
『筋骨、関節の解剖図解』『外科学基礎』ベル p.227
『人体主要器官の病理解剖学』ベイリー /『皮膚の疾患について』ウィラン /『病理解剖学』クリュヴェイエ /『病理解剖学図集』カースウェル p.235
『リトグラフによる人体解剖小図集』クロケ /『人体器官学概論』サルランディエール p.253
『人体解剖図大全』ブルジェリ p.269
『人体臓器大全集』クエイン、ウィルソン /『外科解剖学』マクリース /『等身大彩色解剖図集』エリス p.279
『グレイの解剖学』グレイ p.295
『局所解剖図譜』『補遺:妊娠後期の子宮と胎児』ブラウネ p.303
デジタル時代の解剖図:マイケル・J・アッカーマン p.315
解剖図譜の著者:書名 p.334
訳者あとがき p.335
奥付 p.336
◆やさしい美術解剖図
◆An Atlas of Anatomy for Artists
◆Anatomy for the Artist