脳から変えるダメな自分
やる気がでない、集中力が続かない、アイデアが浮かばない、それらの原因を脳の性質からダメな部分として特定し、脳から変えよう!という脳神経外科医による意識改革のすすめ。
「やる気が起こらない」「集中力がない」「早起きが定着させられない」・・・など、ぜんぶで12章で問題ごとに独立した形になっています。各章で問題となる弱点を挙げて、その分析と克服法を4~8項目で示している。いっきにやらず一つ一つ実践して習慣を定着させる方向にもっていくのが良いとのこと。
「脳と気持ちの整理術」の読後感が良かったので、更なる『快』をもとめて読んだ。根っこの脳科学は同じなので新しさは少なめです。ただ「脳と気持ちの整理術」は病人に近い〇〇症の人に向けてなのに対し、本書「脳から変えるダメな自分」は弱点レベルの克服とより目的がハッキリしていて読みやすい。
■脳から変えるダメな自分「やる気」と「自信」を取り戻す(NHK出版)
■「脳から変えるダメな自分」by築山節(R:いろいろメモ&日記)
各章のまとめは譲り、クリエイトに関係する所をピックアップします。
右脳は社会性(周囲の情報に注意する力)、左脳は主体性(言葉や思考を組み立てる力)を司っている。右脳が壊れた患者は左側半分が認識できなくなるが、左脳が壊れてもそうはならない(言葉は整理できなくなる)そうです。部屋に閉じこもっている生活を続けると右脳は弱る。描く絵が歪む(左右対称の絵が歪んでしまう)原因かと思う。その右脳を鍛えるには『長文を音読する』『テレビやラジオの教養番組のメモを取る』『(散歩でも)慣れない場所に行く機会を増やす』こと。そして、しんどくて理解できなかった右脳本「決定版 脳の右側で描け[第4版]」の訓練方法の意味が今ならわかりそうです。
脳をMAXに使うには早起きするしか無い。脳と体のダメージを回復させる成長ホルモンは深夜0~2時に分泌され、それを有効に活かすにはその時間に寝ている必要があります。また、感情の安定に重要なセレトニンの生成に『強い光が必要』つまりは蛍光灯程度ではダメで日光を浴びる生活。考えをまとめる適度な運動として『昼間の散歩』とも合致する。
第8章「アイデアが浮かばない」は、そのまま経験則から導き出された「アイデアのつくり方」の脳科学側からの裏付けにもなっています。
脳本で透けて見えてくる『人の脳はかくも太陽に縛られ、孤独では生きられない』という現実に、ひたひたと後悔の念に駆られる。
ISBN-13: 9784140813706
▼目次(脳から変えるダメな自分 「やる気」と「自信」を取り戻す)
はじめに:人は何歳からでも変われる p.3-6
もくじ p.7-13
【図】脳の構造:大脳新皮質・大脳辺縁系 p.14
第1章 やる気が起こらない p.15
止まっている時間が長いと脳の活動は停滞に向かう
深く思考する人はよく歩く
「作業興奮」は効果が分かりやすい活脳術
「小さな課題」に分解して「小さなやる気」を得る
誰でも簡単に地球一周分歩くことができる
やる気は「自分でつくり出すべきもの」
コラム1 脳の働きを鈍化させる「体と心の運動不足」
第2章 集中力がない p.30
24時間いつでも集中できるわけではない
「覚醒水準の波」を自分でコントロールする
仕事開始からの3時間で、重要な仕事は終わらせる
脳の覚醒水準が落ちてしまうのはこんな時
「脳が冴える時間帯」を固定する
一年の中でも「覚醒水準の波」を意識する
コラム2 短い時間を意識する訓練に「砂時計」を
第3章 早起きを定着させられない p.46
早朝は「社会に攪乱されない時間帯」
起床時間を不安定にすると「有効に使える時間」が減る
早起きは感情の安定に多大な恩恵をもたらす
寝付きを良くする方法ー眠りに誘われメカニズムを強化
目覚めを快適にする方法ー「睡眠と覚醒の間」に注目する
社会が動き出す前に「今日の課題」を分析する
コラム3 「朝は学ぶ、昼は働く、夜は休む」が効率的
第4章 抑制の力が落ちている p.62
「実行できない」「ついやってしまう」「やめられない」
「強い脳」である感情系が思考系に影響を与えている
思考系優位の状態をつくる為に重要な「抑制の力」
抑制力の低下は集中力・記憶力・思考力の低下
抑制の力を高める方法に近道を求めてはいけない
日常的にできつトレーニングー音読、メモを取りながら視聴
コラム4 即効性がある「やめられないとき」の対処法
第5章 「空気が読めない」と言われる p.76
本当は違う人がそう見られてしまうとき
右脳と左脳の特徴的な機能
左脳の力に頼りすぎて右脳の力を落としてしまう
「苦手なこと」がいつの間にか「できないこと」になる
会話から取り残されてしまうとき
「聞き落とさない力」を高める「オウム返しトレーニング」
毎日見ている風景の中にある変化に気づく
社会性を高めるために目指すべき方向性
コラム5 右脳・左脳と前頭葉の関係
第6章 自分の考えをまとめられない p.92
「主体性の問題」に関わる事
「誰かの左脳」に依存していないか
「自分で考えられない人」をつくってしまう働かせ方
「なぜそう判断したのか」を説明できるようにする
脳の中の情報は出力しなければ整理されない
主体性を高める為にとても大切なこと
コラム6 「行動力がある」と「主体性が高い」は同じではない
第7章 思い出せない言葉が増えている p.108
記憶力の問題ではない可能性
概念と語録の結びつける力
人は案外しゃべっていない
言いやすい言葉を「つい言ってしまう」
相手の話題に会わせてしゃべろうとすることが大切
新しい語録を会話に持ち込むために「第三者」を交える
コラム7 コミュニケーションにおいて大切な事
第8章 アイディアが浮かばない p.122
「基礎的な問題を解く力」を備えているか
「読んだだけ」「聞いただけ」では覚えられない
「アイディアは百歩めのところにある」と考える
「歳を取ると創造力が低下する」とは限らない
コラム8 脳を上手く使うために重要な「過程性」
第9章 時間を無駄遣いしてしまう p.134
パソコンを使っているときの「時間の浪費」を防ぐ
時間の経過を忘れやすいシチュエーション
自分の人生は「今生きているこの一回だけ」
時間を無駄遣いさせる「二大悪」
「今日、何をどこまで」が不明確では集中できない
コラム9 「物の整理」が思考をスッキリさせる理由
第10章 同じ失敗を繰り返す p.150
ありがちなケース
「観察する自分」をつくり出す
「5W1H」で失敗を分析する
失敗には「脳の使い方の問題」が表れる
よくする失敗に変わっていく
コラム10 脳が一度に注意して処理できる情報は少ない
第11章 ネガティブ思考に陥りやすい p.166
根本的な原因は「基本的なこと」にある
「できないこと」ばかりに目を向けてしまうとき
悩んでいる子供や部下を救う方法
「無為な生活」は脳をネガティブ思考に向かわせる
「着実に処理できている事がある」という充実感
コラム11 与えられているものを認識し直す
第12章 変化への対応力がない p.178
変わらないでいる事は取り残されていくこと
前向きに逞しく生きていくための基礎力
脳には「状態依存症」という性質がある
脳をバランスよく鍛えるための「守りと攻め」
あとがきに代えて:逆境の時代に自分を強くするもの p.189-193
奥付/著者略歴:築山節(つきやま・たかし) p.195