図説 民居 イラストで見る中国の伝統住居
中国の伝統・歴史的な住宅をイラスト多めで紹介する建物資料集。
中国で近代都市化が進み消えつつある、地域的な特色を持つ伝統住宅。建築資料として残すためにイラストと写真で解説する。2004年に中国で出版された『図説民居』(中国建築工業出版社)を日本向けに加筆修正、翻訳しています。
第1章「中国民居の特徴」は、日本向けに民居を紹介するために書き下ろされた章です。中国の建物は「官式建築」と「民間建築」に大別できる。紫禁城をはじめとする官式建築は材料・建築技術など全国一律に定められています。民間建築は瑠璃瓦が使えないなど規制があるものの、その土地の気候に合った材料や、宗教・民族性が影響して造られている。
2章「風土に根ざした住居」は、地形や気候によって異なる材料や建築技法で造られた7地域の民居を解説。
3章「少数民族の民居」は、漢族以外の8つの民族(ウイグル、チベット、モンゴル、朝鮮、トン、ダイ、ペー、ナシ)の民族・宗教性のある民居の紹介になります。
4章「専守防衛の砦」は、一家を防衛するための砦5つです。民家というより高い壁で囲まれた城塞集合住宅になっていて、江南地域にかたよっている。巻末付録は「中国民居カタログ」イラストと数行の解説文付きで民居を一覧にできます。
■図説 民居 イラストで見る中国の伝統住居>内容見本に3枚(PDF)(東方書店:中国・本の情報館)
詳細なイラスト多数で、写真もあって、建築専門書というより一般向けの民居紹介本になる。そのわりに建築的な注釈入りの見取り図・宗教装飾・家族制度まで見えて詳しい。漢族の中庭式住居が、中庭を中心にして四方を壁・建物で囲う造りで中華思想からなのだと分かる。
コーエーの箱庭型シミュレーションゲーム「三国志」をプレーしていると親近感のわくイラストばかり。また民居のルーツで、地域ごとの特色が出るようになったのも漢の時代だそうです。
ISBN-13: 9784497212023
▼目次(図説 民居 イラストで見る中国の伝統住居)
もくじ p.2
日本語版まえがき p.4
第1章中国民居の特徴 p.7
1.中国の伝統建築 p.8
2.中国民居の歴史 p.11
3.自然環境と中国民居 p.15
4.民居の多様な形態 p.18
5.民居の装飾 p.22
第2章風土に根ざした住居 p.27
1.黄土高原の〓(よう)洞―斜面の横穴住居 p.28
2.北京の四合院―四角い大邸宅 p.41
3.安徽省南部の民居―華やかさを秘めたシンプルな高楼 p.53
4.江南水郷の民居―小さな橋と水辺の住居 p.67
5.山西省中部の民居―堅固に閉ざされた磚の住居 p.75
6.高床式住居―床が宙に浮かぶ木造の住居 p.80
7.福建省南部の紅磚民居―めでたい紅磚造りの住居 p.84
第3章少数民族の民居 p.93
1.ウイグル族―天山南麓に散在する陸屋根の民居 p.94
2.チベット族―石造りの〓(ちょう)房 p.100
3.モンゴル族―砂漠の天幕 p.106
4.朝鮮族―長白山のふもとにひろがる低い民居 p.111
5.トン族―渓流ぞいの高床式集落 p.117
6.ダイ族―西双版納の竹楼 p.125
7.ペー族―雲南省大理の漢族風民居 p.131
8.ナシ族―他民族の特徴を融合した土壁の民居 p.137
第4章専守防衛の砦 p.145
1.福建土楼―山に囲まれた城塞 p.146
2.〓(かん)南囲屋―険しい山間の土で囲まれた民居 p.161
3.梅州囲〓(ろう)屋―田畑に散在する馬蹄形の民居 p.167
4.開平〓(ちょう)楼―潭江沿いの神奇な塔状民居 p.174
5.〓(びん)西土堡―一族を守る砦 p.180
付録 中国民居カタログ p.188
日本語版あとがき p.196
監訳者あとがき p.198
著者略歴:王 其鈞(おう ききん)/ 監訳者略歴:恩田重直(おんだ しげなお) p.201
奥付 p.203