ブラックマジックM66絵コンテ集
士郎正宗の初期の漫画「ブラックマジック」の一編を1987年にアニメ化した。士郎正宗自身が絵コンテを描いた作品です。
アニメの絵コンテというより漫画のネームのような印象をうける。とにかく書き込みが多い。初期の士郎正宗のアタリや鉛筆線画をたくさん見れる。絵柄の進歩というか変化を探るのに良い資料になります。
あとがきにもありますが、絵コンテとしては膨大な労力を使ったわりには失敗だった。TVアニメなら2話分、ドラマなら1本分、アメリカのアクション刑事ドラマ風という単純明快な基本があったにもかかわらず、細部にこだわり過ぎてテンポが悪くなってしまった。初めてのアニメ制作でいきなり絵コンテを描くというのは天才にして不可能と結論づけている。
にしても当時、徳間書店がコレクター向けに発行した「風の谷のナウシカ」の絵コンテ(文庫版)を教科書に、いきなり初絵コンテ→アニメ(OVA)化してそこそこの評価を得られる作品にするとは、やっぱり尋常ならざる才能だ。
M66以降、直接、動画になる絵コンテは描いてないようだ。今は「攻殻機動隊1.5HUMAN ERROR PROCESSER」に収録されているように、設定作画と(ト書き、台詞による)シナリオ形式のネタを提供する形に落ち着いている。この方式では、原作提供をうけてストーリーを組み立て絵コンテにするアニメ監督の力量が作品の成否を左右するけど、攻殻機動隊の成功で本人がやるよりも上に到達できると証明できたので、より良い方法なのだろう。
■ブラックマジック M-66(Wikipedia)
■特集#05-『ブラックマジック』をもう一度(士郎正宗の温故知新!)
▼目次(ブラックマジックM66絵コンテ集)
1.絵コンテ集 p.3-p.330
A~Eパート 328枚 全732カット
2.設定資料集 p.331-p.356
用語解説 p.357
あとがき p.359-p.362