となりのトトロ 絵コンテ

 売れなかったらやめようとしていたアニメ制作会社を永続企業にした看板アニメ。のちに、ディズニーのミッキーマウスのように、トトロはスタジオジブリのシンボルマークになる。

となりのトトロ絵コンテとなりのトトロ スタジオジブリ絵コンテ全集3

 長編アニメの基本は、主人公の目的や夢をかなえるべく敵(悪役・事件・災害など)と戦うことが常だった。観客にとってリアルに必然性を感じられる『敵』を登場させることが映画の良し悪しに直結する。しかしパターン化した『敵』のマンネリ、ネタ切れを感じた監督は「ヤマなし、オチなし、意味は感じてね」という中編ファンタジーをぶちあげる。元は60分、女の子を皐月とメイに分けて86分の長編にした。

 絵コンテではAパート(212カット)を使って「親子が引っ越してきて、家の中を探検する」だけ。演出と映像の力によって成立しているのだけれど、およそ企画から絵コンテまで独りで仕切ることができ、ナウシカ・ラピュタの成功があったから許された冒険かとも思う。


 「火垂るの墓」と同時制作でスタッフの取り合いになり、「宮崎は絵が描けるから」とある意味「B級スタジオ」に押し込められ激怒したりと逸話の多いアニメでもある。宮崎駿の才能で成立したアニメで、十数年前のアニメ雑誌のインタビューでも、「アニメとしてはトトロが最高で、その後は惰性で作っていた。紅の豚は趣味丸出しで恥ずかしい」みたいなことを仰っていた。55歳定年だの引退、引退を繰り返していた時期の話だ。

 あまりにも有名なアニメなので、後に空を飛ぶ浮遊感が子供に悪影響があるだの、影が無いから死んでいるだの、いろいろ深読みされているけど、付録のラセター氏の話のように「日本語が解らない子供でも楽しめる」子供に喜んでもらう為のアニメで、それ以上ではない。その意味では「崖の上のポニョ」と共通で、子供好きな監督にしかできない得意分野なのだと思う。

となりのトトロ(Wikipedia)

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▼目次(となりのトトロ スタジオジブリ絵コンテ全集3
もくじ p.2
絵コンテの見方 p.4
用語解説 p.5

Aパート(カット1~212) p.7
Bパート(カット213~424) p.103
Cパート(カット425~664) p.201
Dパート(カット665~953) p.305

資料編 p.413
絵コンテと本編の違い(欠番一覧) p.414
STAFF&CAST p.415
DATA p.418
アニメーション画面処理について p.419
奥付 p.434

付録:月報2001年6月(冊子16ページ)
英語でなくても楽しめる作品 ジョン・ラセター p.2-8 /作品論「となりのトトロ」 おかだえみこ p.9-16

スタジオジブリ 絵コンテ全集
ジブリTHE ARTシリーズ(背景画集)
時をかける少女 絵コンテ 細田守

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