オタク市場の研究
ときどきニュースで見かける「オタク」についての数字は、野村総合研究所がおこなった約1万人のアンケートから出ていることが多い。それを分析してまとめた本が「オタク市場の研究」です。
なか身はアンケートをもとに新しく定義した「オタク」を12のカテゴリ分けにしてマーケティングの視点から分析しています。正直、文章がかたく「オタク」に興味がなかったら眠くなること間違いなしの内容です。
この本で定義している「オタク」は外見からくるアキバ系のオタク像ではなく、可処分所得の大半と余暇のほとんどを特定の趣味に費やしてしまう人としています。ぶっちゃけ「クルマ、旅行、ファッション」なんてオタクのカテゴリじゃないと思いますが、要はオタク的消費行動をする人を分析してカモろうということなのでしょう。特定の商品やサービスにはまり込んで抜けられなくなり消費しつづける「依存症」のような気もします。
12のカテゴリに数人の研究員がついて、細かく専門用語まで調べてますので内容は濃い本です。要約は無理なので気になった分野で意外だったところ抜きます。
オタク最大のカテゴリ「コミックオタク」35万人・830億円。ジャンプの購入者を見ていればわかりますが10~40代まで全年齢で男より女性の方が多い、特に10代は男子の4倍は女子がいる。グラフを信じるなら10~40代の男性を全て足しても10代女子におよばない数がいる。もう週刊少年誌という区分があるのは変な感じがします。
「アニメオタク」11万人・200億円。周辺のカテゴリと兼ねてるからなのか人数も市場規模も少ない気がします。やはり、アニメDVDの単価の高さからオタク化している人は少ないと見るべきなのでしょうか?男性が多く30~40代の「宇宙戦艦ヤマト」~「機動戦士ガンダム」世代が中心というのは・・・・やっぱりか。ただオタク市場としての分析ではコミックがすでに安定/衰退期で縮小なのにたいして、アニメは成長から成熟期に入ったばかりで、これから寡占化が進むということらしい。
あと、3Cというキーワード。収集 (Collection)、創造 (Creativity)、コミュ二ティ(Community)。もうインターネット無しには繋がらない単語です。とくにブログを媒介にした毛細血管のような拡がりをもつ、緩やかなオタク市場を想像します。そこは年齢も、住む地域も、流行でさえも関係ない趣味の世界のつながりなのでしょう。
▼オタク市場の研究▼
【目次】
第1章 オタク概論
オタクとは何者か? オタク像の再構築の試み
「マニア」、「オタク」という言葉の変遷
消費社会の成熟化によるオタクの顕在化
インターネットの普及によって顕在化してきたオタク
オタクの行動様式
オタクは企業にとっても無視できない存在になってきた
オタクの理解と活用に向けて
第2章 オタク行動理論
オタクの極端な消費
オタクの消費スパイラル
6つのオタク因子
本調査におけるオタクの定義
5人のオタクたち
新たなオタク像の構築
第3章 オタクマーケティング論
オタク登場以前のマーケティングと適用の限界
マーケティングフレーム[3C]
3Cを用いた成功事例
補助フレームとしての「イベント」、「聖地」、「伝説」
組立型ロボット市場への適用
第4章 オタク事業戦略論
産業ライフサイクルとオタク
[萌芽期]:消費者でもあり創作者でもあるオタク
[成長期]:新商品・サービスの評価者兼宣伝担当であるオタク
[成熟期]:ニッチ市場の開拓
[安定/衰退期]:文化の伝承者でありサポート要員ともなるオタク
オタクの企業活動への取り組み
第5章 オタク市場の概要
オタク人口と市場規模
オタク分野間の関係
Category1 コミックオタク
Category2 アニメオタク
Category3 芸能人オタク
Category4 ゲームオタク
Category5 組立PCオタク
Category6 クルマオタク
Category7 AV機器オタク
Category8 ITガジェットオタク
Category9 旅行オタク
Category10 ファッションオタク
Category11 カメラオタク
Category12 鉄道オタク