プロの原作者になる漫画原作のつくり方

漫画原作のつくり方プロの原作者になる漫画原作のつくり方

 若桜木 虔(作家)、すぎたとおる(漫画原作者)に3人の漫画原作者志望(?)のライターが質問する形式の座談会をまとめた本。一応、章ごとに目次がふってありますが雑談にちかく、まとまりのない内容になっています。

 まんが原作者インタビューズで漫画原作者には2種類あって、名前が出るだけで本が売れて実力もある大御所。週刊連載などで漫画家が資料集めやストーリーを考えている余裕がなくなって、ネーム以前の作業を手伝うアシスタント的な原作者。後者にはその分野の専門知識を提供するアドバイザーとストーリーを練って漫画家に伝える原作者に分かれることもあります。「漫画原作のつくり方」は後者のアシスタント的な原作者になる方法がメインで、「漫画原作」論的なことはほとんどありません。

 「漫画原作のつくり方」では専門知識を(最低3つは)持つよう勧めています。レベルはスポーツでいうと県大会出場くらいの知識と経験が必要ということで、野球漫画の原作者になりたければ甲子園出場はしていないといけなくなります。いっぽう「まんが原作者インタビューズ」に出てきた某マンガ雑誌編集者は「いらない」といっていました。むしろ連載をもたせるストーリーを書ける方が大事なようです。専門知識はないよりある方が良いに決まっていますが、麻雀や野球のような安定したジャンルでもない限り「流行」があるし、ひどいとヒット作1本に二番煎じ狙いの作品が数本で消えていくジャンルもある。


 この本で一貫していることは漫画原作者でやっていくなら「何でもする」という姿勢。知らない分野の依頼がきても「専門家」のふり して、あとでインターネットで調べまくって原稿書くのだそうです。もっといえば編集者、漫画家がダマせればそれで良いらしい。プロなら「ムリです」「(知らないから)できません」は口が裂けても言うなということでしょう。

 中ほどに実際出版された漫画と原作原稿が載っています。書き方はシナリオ形式でした。ただし「回想」はなしで、あくまでも時系列に並べる。場面の指定も時代考証や小物などで漫画家が間違えてはいけない知識を主に提供して、構図や感情表現などの細かな指定はしません。おおよそ200字詰め原稿用紙1枚が漫画原稿1ページになっていて20~30枚で1話分の漫画原作になる。漫画はセリフをできるだけ短くするし、書き込める文字は更に少ない。絵的なことは漫画家の裁量に任せるので深入りできず、原作者は完全なネタ勝負。しかも20~30ページで起承転結をつけ、ネタを仕込み、その上で漫画家が原作をありがたがる位のレベルにするのはかなりシンドイ作業でしょう。

 持ち込みして、あきらめずに原作を採用された人の平均ボツ回数は200回だったそうです。同じ原稿を数社に持っていくにしても「とっておきのネタ」をそれだけ用意するだけでも大変なことです。もう読んでいると現状で漫画原作者は職業とはいえないし、肩書きとしてもどうか?という気がしました。

 正直にいうと、表紙とタイトルに惹かれて手にとったけど、失敗した。ただ「漫画原作者になりたい人」と「漫画原作に興味がある人」で極端に評価が分かれているように思います。
 ■良>「大場つぐみ」と言う生き方(画力向上ガイド)
 ■悪>マンガ原作志望者は増えてるのかしら(漫棚通信ブログ版)

▼目次
第一章 漫画原作の基本
 ミステリー漫画の原作見本/『ゴムボートの中の死体』((『こちら花恋捜査局』第一話/作・若桜木 虔)/漫画原作の基本形式/新人原稿の必須条件/トリックや小道具の使い方の基本/漫画原作のキャラ立ての基本(その一)/漫画原作のキャラ立ての基本(その二)
第二章 専門知識を必要とする漫画原作
 時代劇の漫画原作を読む/『新佐の剣』(原作:すぎたとおる 漫画:丹波鉄心)/時代劇の漫画原作の書き方/漫画家との打ち合わせ/専門知識よりも大事なもの/素材とテーマの融合性/チャレンジしないほうが無難な素材/漫画原作に有利な職業?/専門家でなければ原作者になれない!?
第三章 読者を上回る・情報・をいかに提供するか
 原稿枚数に応じた漫画原作の基本/『朱雀』(作:若桜木虔)/読者を上回る・情報・をいかに提供するか(その一)/読者を上回る・情報・をいかに提供するか(その二)
第四章 映像脚本と漫画原作の違い
 漫画原作は何を書けばいいのか?/『朱雀』(作:若桜木虔)/漫画原作でやってはいけないこと/漫画原作のルールを押さえる
第五章 初心者の漫画原作はどこが悪い?
 新人が陥りがちな罠/『鷹のつけ爪』(作・淡路アクリ)/漫画原作で最も嫌うこと/ドンデン返しの要領を掴め!
第六章 新人漫画原作者が超えられない壁
 漫画家では思いつけない物語/「トロッコの上の身代金」(『こちら花恋捜査局』第二話/作・若桜木 虔)/アイディアを思いついたところがスタート地点/漫画家の領分、原作者の領分
第七章 漫画原作を売り込むためのセールス・ポイント
 伝記漫画の原作/『アトムポケット人物館 織田信長』(作・すぎたとおる)/時代劇でもエピソードの創作は必要/何をアイディアの中核に据えるか?/幕末を書く/『未来へ続く道』(作・淡路アクリ)/・動・のシーンの中でいかに喋らせるか/良いタイトルのつけ方
第八章 新人賞を狙うか、持ち込みデビューか?
 応募と持ち込み、どちらが有利?/成人漫画誌と一般漫画誌の違い/採用に一歩近づくために/デビューしただけでは意味がない!

▼過去のレビュー記事(ランダム表示)
▼コメント
すしバーさん URL 2007/06/12 18:11 編集
思うに、今のマンガ業界から考えると、原作者はネタ出し能力の少ない編集者のサポートにしかならないんじゃないかと思います。
逆に、ネタ出し能力の突出した編集者がマンガ原作者になる・・・という感じかしら?
さなだむし 2007/06/13 01:31
名前は出ないけど編集者が原作者な漫画は多いと思います。
実際、独立して原作者になった元編集者もいますし・・・
今の週刊連載を支えるにはアシスタントな原作者は必要な存在になりつつあるのかしら~
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