アニメーションのつくりかた
ディズニースタジオをはじめ40年の経歴を持つアニメーターが、日米でのアニメーションの違いや作画方法について、みっちり教えてくれる動画マンに向けた参考書。
はじめに~10ページはアニメ(作画)の歴史をおさらいします。第1章{「動かせる絵」を描くには}は、原画動画を描く上での基礎知識。立体的に見える輪郭線の描き方や、アニメーションシート(タイムシート)の書き方など。
第2~12章は「歩きと走り」「誇張」「リップシンク」など、具体的な動画の演出・作画技術・省略化テクニックの解説になります。その合間に、多くの経験則からくる注意書きがある。
ディズニー的なフルアニメーションとジャパニメーション、それぞれの作画方法が紹介されています。ちょっとカタカナ・横文字の専門用語が多く出てきますが、日米のアニメ表現の違いがわかる構成です。
■アニメーションのつくりかた(グラフィック社)
ディズニーから始まり、東映動画~ジブリに受け継がれているフルアニメーションの流れ。虫プロダクションから始まる、作画枚数の制約からくる独自表現のジャパニメーションの流れ。現在、世界でも主流のジャパニメーションの表現は「作画枚数の制約」=「制作費の抑制」=「アニメーターを貧乏にする」ことで進歩してきたという分析が面白い。
今や「デジタル化による効率化」=「制作費の削減」もあって、フルアニメーション原理主義からすれば、それはもう「アニメじゃない」だろうな進化になります。でも、アニメ文法の主流でありさえすれば、変わり続けるのもまた良し、という姿勢が素晴らしい。
ISBN-13: 9784766123135
▼目次(アニメーションのつくりかた)
もくじ p.2
AGME社 フローチャート p.4
はじめに「アニメーションの考え方」 p.6
アニメの文法(商業アニメーションの誕生/東映動画と日本のアニメーション) p.7
日本的なアニメーションのセオリー/3コマ撮りと2コマ撮り p.8
口パクの3枚/カメラを動かす p.9
末端は別セル方法/エヴァンゲリオン的手法 p.10
Chapter1 「動かせる絵」を描くには p.11
1.立体的な作画とは/2.基本はボール p.12
3.輪郭線で奥行きを感じさせるには/4.平面的に見えないように空間を面白くバランスよく見せるには p.13
5.体の中の動く部分はどこか p.14
6.関節と筋肉 p.15
7.体の柔らかさ、固さを見せるには/8.柔らかく動かすには p.16
9.体の中の形が変化する部分はどこか/コラム:役に立つ簡単で正確な図形の描き方 p.17
10.アニメーションシートの作り方・読み方 p.18
11.フルアニメーションとは p.19
12.リミテッドアニメーションとは p.20
13.日本のアニメーションとは/コラム:日本のアニメと海外アニメのギャップ p.21
Chapter2 歩きと走り p.22
歩きのアニメーション p.23
基本の歩く&走る p.24
正面の歩き p.26
斜めの歩きの前にパースを覚えよう p.28
斜めの歩き p.30
ゆっくり歩く p.32
早く歩く p.34
全力疾走 p.36
小走り p.38
忍び足 p.40
スキップ p.42
歩いてつまずく p.44
重い物を引きずって歩く p.46
障害物を跳び越える p.48
後ずさる p.50
走っていてカーブを曲がる p.52
体型・性別・年齢による違い/女性の歩き・ヒールと内股 p.54
幼児の歩き p.56
老人の歩き p.58
太った人(足の短い)の歩き p.60
着物を着た人の歩き p.62
お色気キャラの歩き p.64
感情・状況・シチュエーションによる応用/椅子から立ち上がる p.66
椅子から驚いて立ち上がる p.67
歩いていて振り返る p.68
子ネコを拾い上げる p.70
全力疾走で追いかける p.72
怒って歩く■大人 p.74
怒って歩く■子ども p.76
泣きながらとぼとぼ歩く p.78
喜びながら歩く p.80
威張って歩く p.82
重い物を持ち上げる p.84
酔っぱらいの歩き p.86
自動車を押す p.88
杖をついて歩く p.90
負傷した足 p.92
階段の昇降 p.93
Chapter3 アーク p.94
アークとは何か p.95
運動曲線とアーク/S字アーク p.96
動きの始点が下にある場合/動きの始点が上にある場合 p.97
起き上がるアーク/ネコのしっぽ p.98
アイドルのダンス p.99
ブレイクダンス p.100
アクロバティックな動き p.102
コラム:3DCGと「不気味の谷」 p.103
Chapter4 アンティシペーション p.104
アンティシペーションとは p.105
ボールを投げるアンティシペーション p.106
歩きはじめ、走り始めのアンティシペーション p.107
ジャンプ前のアンティシペーション/振り返る p.108
殴る前のタメ p.110
物を掴む前に少しちゅうちょする p.111
ゴルフのポーズ p.112
叫ぶ前、怒る前のタメ p.113
Chapter5 クッション p.114
クッションとは何か p.115
指差しのクッション p.117
Chapter6 フォロースルー p.118
フォロースルーとは何か p.119
コラム:2つの作画法(ポーズ・トゥ・ポーズ方式、ストレート・アヘッド方式) p.120
Chapter7 ストレッチ&スクワッシュ p.121
ストレッチ&スクワッシュとは何か p.122
顔のスクワッシュ&ストレッチの基本 p.123
古典的なスクワッシュ&ストレッチ/腕のスクワッシュ&ストレッチ/鼻から下&目のスクワッシュ&ストレッチ p.124
ものを食べているときのスクワッシュ&ストレッチ/息を吸っているときのスクワッシュ&ストレッチ p.125
あごが外れるくらいの驚き(カートゥーン的な表現) p.126
Chapter8 セカンダリー・アクション p.127
セカンダリー・アクションとは何か p.128
アクション+セカンダリーアクション(演出) p.129
コラム:フレームレートについて p.132
Chapter9 カリカチュア(誇張) p.133
カリカチュア(誇張)とは p.134
ソフトクリームが顔に飛んでくる p.135
誇張した走り/一歩後ろへとびのいてしまう誇張表現 p.136
Chapter10 タイミング p.138
タイミングとは何か p.139
タイミングが演技を変える p.140
巨人とこびと p.141
スローインとスローアウト p.142
Chapter11 表情とアニメーション p.143
表情とは p.144
目 p.145
目の表現 p.146
目の表現の色々 p.147
視線の移動について p.149
表情を作る筋肉 p.150
手の表情 p.152
手の動き p.154
手の表情1リアルタイプ p.156
手の表情2カートゥーンに近いリアルタイプ p.158
手の表情3女性キャラクタータイプ p.159
手の表情4カートゥーンタイプ p.160
足の表情 p.162
足の動く幅の限界 p.163
靴の描き方 p.164
ジェスチュア p.165
コラム:日米での文化的な違い p.170
表情をアニメーションするときの注意 p.171
目と口の関係による基本の表現/ジャパニメーションの表情 p.172
コラム:ムービング・ホールド p.174
Chapter12 リップシンク p.175
リップシンクとは何か p.176
プレスコ方法での台詞アニメーション p.179
音声と声道 p.180
発声・発音・口型・声道の変化 p.181
リップシンクのための注意点 p.182
コラム:ステージングについて p.185
オーバーラップアクション p.186
フルアニメーションで使われるアニメーション用語・和英辞典 p.188-190
あとがき:橋本三郎 p.191
奥付 p.192
◆アニメ作画のきほん キャラクター&メカ
◆CG・アニメの動画の素 基本動作・アクション編
◆アニメーションベーシックス