哲学大図鑑

 人類に影響をおよぼした哲学者たちの思想を3行以下に絞って提示しています。そのワンテーマを数ページで徹底的に解りやすく、入門者向けにまとめた哲学・思想の大図鑑です。

哲学大図鑑哲学大図鑑

 哲学者・思想家たち107名を誕生年順に並べています。紀元前700年の「古代世界」から、現在の「現代哲学」までを6章の年代に区切り、各章のはじめに、登場した哲学者・思想的背景の年表を記している。

 その後、哲学者たちの核となる思想・テーマを1~3行で挙げてから、それを1~数ページにわたって難しい哲学用語を使わずに解説します。さらに絵やキーワードを図式化したマインドマップを多用して、難解な思想をイメージしやい様に工夫している。


 巻末には、その他の注目すべき思想家を紹介する「哲学者人名録」と哲学の「用語解説」、「索引」の付録があります。

※本書は「The Philosophy Book,Dorling Kindersley Limited.2011」の全訳です。

哲学大図鑑(三省堂辞書サイト)

 「訳者あとがき」によると、イギリスとイスラム圏の思想家が多い。一方、フロイトやユングなどの精神分析関係と、ダーウィン・ニュートン・アインシュタインといった自然科学系の思想が削られている。

 いわゆる東洋思想と、今の社会に大きな影響のあるフェミニズムやマルクス主義などが厚くなっています。

 数学はモノを考える力を養いますが、哲学は人生の考え方を方程式で示している。理解できれば、そのフレーズを唱えるだけで悩みを解消してくれることもある。そういった自分に合った哲学を探すのに便利な図鑑です。現代人に必要な思想をギュッと詰め込んだ名著となっている。

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ISBN-13: 9784385162232
▼目次(哲学大図鑑
執筆者 p.5
もくじ p.6-9
はじめに p.10

古代世界 紀元前700年~後250年 p.18
万物は水からできている ミレトスのタレス p.22
道の道とすべきは常の道に非ず 老子 p.24
数こそがかたちと観念を統べている ピュタゴラス p.26
自己の煩悩を克服した人間は幸福だ ゴータマ・シッダータ(釈迦) p.30
忠信を主とせよ 孔子 p.34
万物は流転する ヘラクレイトス p.40
万物は一である パルメニデス p.41
人間は万物の尺度だ プロタゴラス p.42
我に投ずるに桃を以てす、之に報ゆるに李を以てす 墨子 p.44
原子と空虚な空間のほかには、なにも存在しない デモクリトスとレウキッポス p.45
吟味されることのない人生など生きるに値しない ソクラテス p.46
地上での知識は影にすぎない プラトン p.50
真理は私たちをとりまく世界にこそ住まう アリストテレス p.56
死は私たちにとってなにものでもない エピクロス p.64
最小のもので満足できる人は、最大のものを有している シノペのディオゲネス p.66
人生の目標は自然との調和のうちに生きることだ キティウムのゼノン p.67

中世世界 250年~1500年 p.68
神は悪の起源ではない ヒッポの聖アウグスティヌス p.72
神は私たちの自由な思考と行為とを予見している ボエティウス p.74
魂は身体から区別されている アヴィケンナ(イブン・シーナー) p.76
ただ神のことを考えるだけで、私たちは神が実在していると知ることができる 聖アンセルムス p.80
哲学と宗教は両立不可能なものではない アヴェロエス p.82
神には属性などない モーセス・マイモニデス p.84
嘆いてはならない。なにをなくしたとしても、それはかたちを変えてもどってくる ジェラール・アッ=ディーン・アッ=ルーミー p.86
宇宙はつねに実在していたわけではない トマス・アクィナス p.88
神は非他なるものだ ニコラウス・フォン・クザーヌス p.96
なにも知らないでいるのが、もっとも幸福な人生だ デシデリウス・エラスムス p.97

ルネサンスと理性の時代 1500年~1750年 p.98
目的が手段を正当化する ニコロ・マキャヴェリ p.102
名声と平静さが並びたつことはありえない ミシェル・ド・モンテーニュ p.108
知は力だ フランシス・ベーコン p.110
人間は機械だ トマス・ホッブズ p.112
われ思う、ゆえにわれ在り ルネ・デカルト p.116
想像力がすべてを左右する ブレーズ・パスカル p.124
神は自身のうちにある、いっさいのものの原因だ ベネディクトゥス・スピノザ p.126
ここでは、どんな人間の知識も当人の経験を超えることはありえない ジョン・ロック p.130
二種類の真理がある。理性の真理と事実の真理だ ゴットフリート・ライプニッツ p.134
存在するとは知覚されてあることだ ジョージ・バークリー p.138

革命の時代 1750年~1900年 p.142
懐疑は喜ばしい状態ではないが、確実性も不条理だ ヴォルテール p.146
習慣は人間生活の偉大なガイドだ デイヴィド・ヒューム p.148
人間は生まれつき自由だが、いたるところで鎖につながれている ジャン=ジャック・ルソー p.154
人間は取引する動物だ アダム・スミス p.160
二つの世界がある。私たちの身体と外界だ イマヌエル・カント p.164
社会とは実際のところ契約だ エドマンド・バーク p.172
最大多数の最大幸福 ジェレミー・ベンサム p.174
精神にジェンダーはない メアリ・ウルストンクラフト p.175
どの手の哲学を選ぶかで、どの手の人間かがわかる ヨハン・ゴットリープ・フィヒテ p.176
哲学について哲学する以上に、哲学することのできる主題などない フリードリヒ・シュレーゲル p.177
あらゆる現実は歴史的な過程だ ゲオルク・ヘーゲル p.178
だれもが自分の視野の限界を、世界の限界だと思っている アルトゥール・ショーペンハウアー p.186
神学は人間学だ ルートヴィヒ・アンドレアス・フォイエルバッハ p.189
自分自身の身体と精神にたいしては、だれもが支配者だ ジョン・スチュアート・ミル p.190
不安は自由の眩暈だ セーレン・キルケゴール p.194
これまで存在していたあらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史だ カール・マルクス p.196
そもそも市民は、自分の良心を立法者に委ねなければならないのか ヘンリー・デイヴィド・ソロー p.204
事物がどのような効果をもつかを考えよ チャールズ・サンダーズ・パース p.205
自分のなすことがちがいをもたらすかのようにふるまえ ウィリアム・ジェイムズ p.206

現代世界 1900年~1950年 p.210
人間とは、のりこえられるべきなにかだ フリードリヒ・ニーチェ p.214
自分を信頼している人びとが、来て見て勝つ アハド=ハアム p.222
どんなメッセージも記号からできている フェルディナン・ド・ソシュール p.223
経験それ自体は学問ではない エドムント・フッサール p.224
直観はまさに生の方向にそって進む アンリ・ベルクソン p.226
私たちは困難に直面したときにだけ思考する ジョン・デューイ p.228
過去を覚えていられない人は、それをくりかえすよう強いられる ジョージ・サンタヤーナ p.232
苦しみのみが私たちを人間にする ミゲル・デ・ウナムーノ p.233
人生を信じること ウィリアム・デュ・ボイス p.234
幸福へいたる道は、労働の組織的な減少のうちにある バートランド・ラッセル p.236
愛こそが貧しい知識から、豊かな知識への架け橋だ マックス・シェーラー p.240
ひとりであるかぎりでのみ、人は哲学者になりうる カール・ヤスパース p.241
人生は未来との一連の衝突だ ホセ・オルテガ・イ・ガセット p.242
哲学するためには、まず懺悔しなければならない 田辺元 p.244
私の言語の限界が私の世界の限界だ ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン p.246
私たち自身が分析されるべき存在だ マルティン・ハイデガー p.252
個人の唯一真の道徳的選択は、共同体のための自己犠牲をとおしてなされる 和辻哲郎 p.256
論理学は哲学の最後の科学的要素だ ルドルフ・カルナップ p.257
人間を知るただひとつの方法は、なんの望みもいだくことなくその人間を愛することだ ウァルター・ベンヤミン p.258
存在するものは真実ではありえない ハーバート・マルクーゼ p.259
歴史が私たちに帰属するのではなく、私たちが歴史に帰属する ハンス=ゲオルク・ガダマー p.260
科学的言明は、現実について語るものであるかぎり、誤りとなる可能性から逃れられない カール・ポパー p.262
知性は道徳的カテゴリーだ テオドール・アドルノ p.266
実存は本質に先立つ ジャン=ポール・サルトル p.268
悪の月並みさ ハンナ・アーレント p.272
理性は言語に宿る エマニュエル・レヴィナス p.273
世界を見るために、私たちは世界の慣れ親しんだ受容を断ちきらなければならない モーリス・メルロ=ポンティ p.274
男は人間として定義され、女は女性として定義される シモーヌ・ド・ボーヴォワール p.276
言語は社会的技術だ ウィラード・ヴァン・オーマン・クワイン p.278
自由に対する根源的感覚は、鎖からの自由だ アイザイア・バーリン p.280
山のように考えよう アルネ・ネス p.282
人生に意味などなければ、人生はずっと生きやすくなるだろう アルベール・カミュ p.284

現代哲学 1950年~現在 p.286
言語は皮膚だ ロラン・バルト p.290
文化なしで私たちはどうやってゆけばよいのか メアリー・ミッジリー p.292
通常科学がめざすのは、事実あるいは理論の新奇性ではない トマス・クーン p.293
正義の原理は無知のヴェールの背後で選択される ジョン・ロールズ p.294
芸術は人生の一形式だ リチャード・ウォルハイム p.296
なんでもあり ポール・ファイヤアーベント p.297
知は売られるべく生みだされる ジャン=フランソワ・リオタール p.298
黒人にはたったひとつの運命しかない。それは白人になることだ フランツ・ファノン p.300
人間とは最近の発明品だ ミシェル・フーコー p.302
私たちが選択するなら、私たちは心地よい幻想の世界で暮らすことができる ノーム・チョムスキー p.304
社会はそれ自身の伝統の批判に依拠している ユルゲン・ハーバーマス p.306
テクストの外部はない ジャック・デリダ p.308
私たちの奥底には、私たちが自分でそこに置いたもの以外にはなにもない リチャード・ローティ p.314
あらゆる欲望は狂気に関係している リュス・イリガライ p.320
どんな帝国も、自身とほかのどんな帝国とも似ても似つかない世界を語る エドワード・サイード p.321
思想はつねに対立によって作動する エレーヌ・シクスー p.322
こんにちのフェミニズムのなかで、だれが神を演じるのか ジュリア・クリステヴァ p.323
哲学は書かれた企てにつきるものではない ヘンリー・オデラ・オルカ p.324
苦しむという点では、動物も私たちの同胞だ ピーター・シンガー p.325
最良のマルクス主義的分析は、いつでも誤りの分析だ スラヴォイ・ジジェク p.326

哲学者人名録:アナクシマンドロス、ミレトスのアナクシメネス、アナクサゴラス、エンペドクレス、エレアのゼノン、ピュロン、プロティノス、王弼、イアンブリコス、アレクサンドリアのヒュパティア、プロクロス、ヨアネス・フィロポヌス、アル=キンディー、ヨハネス・スコトゥス・エリウゲナ、アル=ファーラービー、アル=ガザーリー、ピエール・アベラール、ロバート・グロステスト、イブン・バーッジャ、ライムンドゥス・ルルス、マイスター・エックハルト、ヨハネス・ドゥンス・スコトゥス、オッカムのウィリアム、オートルクールのニコラウス、ナルボンヌのモーゼス、ジョヴァンニ・ピコ・デラ・ミランドラ、フランシスコ・デ・ヴィットリア、フランシスコ・スアレス、バーナード・マンデヴィル、ジュリアン・オフレ・ド・ラ・メトリー、ニコラ・ド・コンドルセ、ジョゼフ・ド・メーストル、フリードリヒ・シェリング、オーギュスト・コント、ラルフ・ウォルドー・エマソン、ヘンリー・シジウィック、フランツ・ブレンターノ、ゴットロープ・フレーゲ、アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド、西田幾多郎、エルンスト・カッシーラー、ガストン・バシュラール、エルンスト・ブロッホ、ギルバート・ライル、マイケル・オークショット、エイン・ランド、ジョン・ラングシャム・オースティン、ドナルド・デイヴィドソン、ルイ・アルチュセール、エドガール・モラン、ルネ・ジラール、ジル・ドゥルーズ、ニクラス・ルーマン、ミシェル・セール、ダニエル・デネット、マルセル・ゴーシェ、マーサ・ヌスバウム、イザベル・スタンジェール p.328
用語解説 p.340
索引 p.344
訳者あとがき p.350
出典一覧 p.351-352

ニーチェ 入門・哲学者シリーズ1


蛇足文:個人的には『我思うゆえに我あり』で止まっていたのですが、その後、自我が怪しいどころか、否定されてしまう。その虚無の穴には『自分でコアになる何か』を置き続けなければならない。そうしないと生存(生活)しているだけで、存在(人生)しているとはいえない。

 それは他人から見れば要らない人、居なくてもよい人間になってしまい恐怖です。その虚無に喰われない為にも「人は一人では生きられない」じゃなく、「独りで生きてはいけない」くらいの積極性が要る。でも、最期は棺桶にひとりで入るんだよな・・・という囁きも。

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