マンガの創り方 山本おさむ

 プロ漫画家による商業誌レベルのネーム・ストーリーのつくり方。

マンガの創り方マンガの創り方―誰も教えなかったプロのストーリーづくり

 まずは漫画作品を描いて、雑誌投稿や持ち込みをして、編集者に「今度からネームを持ってきて」といわれたレベルの漫画家の卵に向けた『ネームづくりの教科書』です。もしくはネームくらいは解って欲しいマンガ原作者志望に向けた、初心者お断りの中級以上のマンガ参考書になります。

 一般的な「マンガの描き方」にある作画パートをごっそり廃している。そして短編ストーリーの組み立てから実践的なネームづくりまでを、2つの作例(高橋留美子『Pの悲劇』/山本おさむ『UFOを見た日』)を使って説き明かします。漫画のストーリー・ネームの創り方だけで496ページもある大作です。

 「ストーリーの教科書」となると、小説やシナリオの書き方の本が多く、マンガ参考書でも起承転結・序破急くらいしか教えていないことがあります。この著者も映画のシナリオ研究から入ったそうですが、やっぱり漫画には漫画のやり方があって、特に『画』を含めたときのネーム推敲が重要になってくる。この『ネーム推敲力』のあるなしが、商業誌で連載漫画家としてやっていくには必要不可欠なのだそうです。

 長年、漫画家として現場をみてきた著者には積もり積もったものがあるらしく「序論」を中心にいろいろ述べている。新人漫画家と大御所担当になれないレベルの編集者のコンビなんて「負の相乗効果」で成功するわけがない。新人を闇雲に潰しているように思う。それも含め「漫画家の勉強不足」が原因として奮起を促している。

マンガの創り方中身01
 
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▼目次(マンガの創り方―誰も教えなかったプロのストーリーづくり
もくじ p.2-7
序論
序論1『なぜマンガ家志望者の大半が挫折してしまうのか?』 p.10
序論2『“自力”でストーリー(ネーム)を創れるかが分かれ目だ』 p.22
序論3『原作志望者とデビュー前後の新人マンガ家ヘ』 p.26

第一部 『ストーリー作りを始める』
「動機」(モチーフ)・「発想」(アイデア)から筋(プロット)へ
序章 ストーリー作りの工程・押さえておくべきこと p.40
第1章 『動機(モチーフ)と発想(アイデア)』 p.49
 動機と発想を混同してはいけない。
パターンに飛びつくな・すがりつくな p.49
発想はひとひねり以上しなければいけない p.51
ジャンルとパターンの引き出しを持とう p.54
パターンの使い方の分析能力を育てよう p.56
アイデアに時間と空間の制限を与える p.59
真似とインスパイアされることは違う p.62
アイデアにもう一工夫のトッピングを p.70
まとめ・発想の5条件 p.74
第2章 『プロットを立てる』 p.76
 状況・登場人物・事件・結末の設定を作る
プロットには4つの要素が必要だ p.76
まず人物を外的・内的に『転がして』みる p.78
『Pの悲劇』に見るアイデア→プロットの試行錯誤 p.80
『Pの悲劇』から学ぶ結末へ“転がす”ための4つのポイント p.84
『Pの悲劇』から学ぶ登場人物の内面(キャラクター)の熟考 p.86
自作『UFOを見た日』プロットの右往左往 p.93
プラネテス第3話のプロットに見るベクトル p.100
プロ作家はプロットでシミュレーションする p.103

第二部 『ストーリーを組み立てる』
プロットを「箱書き」にして全体の構成を見る
 Pの悲劇 箱書き p.108
 UFOを見た日 箱書き p.110
 プラネテス 箱書き p.112
序章 箱書き(構成)の目的と作業 p.113
 「起承転結」の流れを場面に置き換えていく
第1章 『起』(ファーストシーン)の箱書きを作る p.121
 読者を一気に物語の中に引き込む
ファーストシーンで読者に『おやっ?』と思わせること p.121
『勝利への脱出』のファーストシーンに見るスピードと視点 p.123
『Pの悲劇』ファーストシーンに見る巧妙な4つの要素の出し方 p.127
『UFOを見た日』で使ったサンドイッチ形式とは? p.132
『UFOを見た日』での説明を面白くするための苦心 p.137
『プラネテス』でのエスカレートの演出 p.140
『Pの悲劇』での読者に感情移入させる情報の出し方 p.143
第2章 『承』(展開部)の箱書きを作る p.152
 説明部分で絶対に読者を退屈にさせない
もっともむずかしいのが「承」だ p.152
『Pの悲劇』から学ぶメリハリの原則 p.154
『Pの悲劇』から学ぶ伏線の技術 p.160
『Pの悲劇』でのクライマックスへ繋ぐための苦心 p.162
『Pの悲劇』展開部全体の“3の力学”構造 p.168
『UFOを見た日』「承」(展開部A)のベタを避ける工夫 p.171
『UFOを見た日』「承」(展開部B)の内面ドラマの進行 p.176
ドラマには“力学”が必要だ p.182
第3章 『転』と『結』の箱書きを作る p.186
 クライマックスを盛り上げ、エンディングでカタルシスを
『Pの悲劇』に見る“ピンチ”を“チャンス”へ p.186
『Pの悲劇』でのクライマックスシーンへのアプローチ p.192
『UFOを見た日』「転」「結」のテーマの抽象化・普遍化 p.200
『UFOを見た日』「転」「結」のカタルシスに導く工夫 p.204
箱書き段階で論理を尽くして点検する p.210

第三部 『ネーム(シナリオ)を作る』
 「箱書き」を具体的な場面に仕立てあげていく
序章 ネーム第1稿を作るときのポイント
ネームにはシナリオと演出の二面がある p.214
マンガ演出の3つの基本技術 p.216
シナリオを土台にして画を演出するのがネーム作業だ p.220
第1章 『UFOを見た日』ネーム解説/その1 p.226
 「起」「承」をどう作っていったか
「起」の3つの基本技術 p.228
「起」の演出の3つの工夫 p.239
説明部分(承)での注意点 p.249
第2章 『UFOを見た日』ネーム解説/その2 p.259
 「転」「結」をどう作っていったか
事件の起きる『交番』シーンをどう演出したか p.259
登場人物の芝居づけ p.266
カッティング p.270
内面のキャッチボール p.272
アクションシーンの演出 p.279
終盤の締めくくり方 p.281
ラストシーンの締めくくり方 p.284
ネーム作業で脂汗を流しながら粘れ! p.286
第3章 『Pの悲劇』ネーム解説 p.290
 難しい題材を作品化した超絶技巧
冒頭の状況説明と人物紹介の技巧 p.290
適役の効果的な演出 p.295
事情説明の超絶技巧 p.298
次に繋ぐ工夫 p.301
時間経過の説明の工夫 p.302
『3の力学』効果 p.304
セリフのだめ押し&強調効果 p.306
会話シーンのテクニック p.308
凌ぎ方 p.310
テーマの提出の仕方 p.311
秘密の明かし方 p.313
クライマックスの工夫 p.314
オチの演出 p.317
ラストシーン p.318

第四部 『ネームを推敲する』
 第1稿を練り上げて完成稿を作る
第1章 『セリフとコマを整理する』 p.322
 無駄な部分、余計な部分を徹底的に排除する
推敲の基本 p.322
ケーススタディ1『どんぐりの家~それから~』でのセリフとコマの整理 p.324
ケーススタディ2『天上の弦9』『ストラディバリのチェロ』での余計な説明部分の刈り込み セリフとコマの整理 p.330
ケーススタディ3『天上の弦9』場面のつなぎ(カッティング)をチェックする p.340
ケーススタディ4『天上の弦9』「箱書きの説明を面白く演出していく」 p.353
ケーススタディ5『天上の弦9』『苦い味』での演出の強化 p.363
ケーススタディ6『天上の弦8』『釜山より』セリフの強調と印象づけ p.370
ケーススタディ7『天上の弦8』『ニス』「目的のセリフ」の明確化 p.373
第2章 『演出の技術と工夫』 p.380
 読者を少しでも退屈にさせたら失敗だ
読者にエモーションを与える動きを演出する p.380
ケーススタディ1『天上の弦6』『再開』での動きの工夫 p.382
ケーススタディ2『天上の弦6』『木曽福島』での説明シーンの演出 p.390
ケーススタディ3『天上の弦7』『秋の音色』での背景の演出 p.393
ケーススタディ4『天上の弦7』『再び東京へ』での登場シーンの演出 p.399
ケーススタディ5『聖3』『鬼』でのクライマックスの演出 p.404
ケーススタディ6『遙かなる甲子園4』でのクライマックスの演出 p.414
第3章 『ネーム推敲力を高める』 p.425
 私の批評力・分析力訓練
シナリオから画を組み立てる訓練をしよう p.425
泣かせるシーンをどう演出するか p.427
最後に・生き抜くために必要なのは「企画力」だ p.431

あとがき p.436
奥付 p.441
特別付録(漫画)
Pの悲劇 高橋留美子(『Pの悲劇 高橋留美子傑作選』より) p.445-476
UFOを見た日 山本おさむ(『ぼくたちの疾走』より) p.477-496

マンガ編集者が語るおもしろさの創り方
まんが原作者インタビューズ
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