漫画貧乏 佐藤秀峰

 大ヒットをとばした漫画家が出版業界の行き詰まりを感じ、自らネットで漫画を売る電子書籍サイトの立ち上げまでを綴る。10年後の漫画家のための生存戦略。

漫画貧乏漫画貧乏

 『海猿』『ブラックジャックによろしく』の作者・佐藤秀峰先生が、10年後も漫画家として生きていくにはどうすればよいか?の試行錯誤をした記録。巻頭50ページが漫画で、残りは文章です。

 前半は、漫画出版の売上減少と、漫画家が連載貧乏になる現状をお金の面から計算します。原稿料だけなら連載しながら毎月20万の赤字になり、初単行本までに100~200万の貯金が必要、モーニングの原稿料平均が31,680円。本体価格515円のコミックの原価:1万部で230円/5万部で150円/100万部で130円、つまり1冊で100万部を売るコミックの収益を、1冊1万部で得るには135冊も発行しなければならない。などなど、具体的な数字が並びます。

 漫画家になるには才能・努力の他にお金が要る。まるで『脱サラして店を持つのが夢』な人のように開店資金という貯金が必要です。漫画雑誌の売上が落ち続ける限り、状況はさらに悪化して行きます。

 後半は、漫画家の収入増の模索です。原稿料アップの交渉(成功)、印税率の引き上げ(条件により11%で成功)、自費出版(採算に合わない)、出版社設立(取次との条件から挫折)、ネットで自著コミックの販売(出版社が拒否)、ネットでデジタルコミックの有料配信(開発費の赤字から、イーブンになりそう?)

 出版社への恨みつらみから暗くなる話が多い。最後にネットでの有料配信『漫画 on Web』の宣伝と、もっとアクセスが増えれば黒字になるかもの『希望』が見えてくる。赤松健先生のJコミ広告付き無料と、漫画onWebの有料オンラインコミック、どちらがより良いのか?まだまだ先は長い。

漫画貧乏(PHP研究所)
漫画貧乏 佐藤秀峰 オンラインブック(漫画 on Web)

 感想としては、連載漫画家のピラミッドでも上位1%に入るドル箱の漫画家が、このように出版社から蔑ろにされるのか!と驚愕する。また、印税だけで年間2億円稼ぎ、会社役員報酬で年収3,360万にもなった著者が「貧乏」を叫ぶのも理解に苦しむ。社会的には従業員5人を抱える下請け会社社長といった感覚なのだろうか。今すぐ会社をたたんで、好きな漫画を一人で締め切りなしに描いて、ネットにアップするだけでも生活できそうですが。

 結局、これから出版社から漫画家を目指す世代が詰んでいる。漫画の勉強と経験値稼ぎに行くのはよいけど、最後はネットで自力で稼ぐようになれよ!って方向に進んでいるように思います。

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ISBN-13: 9784569803838
▼目次(漫画貧乏 佐藤秀峰
もくじ p.4-7
プロローグ p.9
プロフィール p.13
10年後、漫画はあるのでしょうか? p.51
原稿料とは、一体何なのでしょうか? p.61
印税生活って、どんな生活でしょうか? p.71
100万部ヒット、年商2億2000万円、さて、年収は? p.79
100万部刷ったほうが、1億円儲かるということです。 p.85
もうね、紙と一緒に心中しようかと、思い詰めました。 p.93
ホームページを作り、そこで自分の漫画を発表して、読者の皆さんに買ってもらう。 p.101
ここ数年、僕は編集者と打ち合わせを行っていません。 p.107
出版社を介さない漫画家と読者の関係。 p.115
オンラインコミック、はっきり言って厳しいでしょう。 p.123
本は出版社の商品であって、あなたの本ではありません。 p.131
じゃあ、実際いくらかかるんだろう? p.141
「佐藤秀峰 on Web」オープン、果たしてそれで儲かるの? p.151
笑ってくれて構わないのですが、僕は世界を変えようと思っています。 p.165
そして「漫画 on Web」へ p.173
エピローグ p.183
漫画 on Webの歩き方 p.188
奥付 p.192

マンガで食えない人の壁
石ノ森章太郎のマンガ家入門
マンガ脳の鍛えかた

▼過去のレビュー記事(ランダム表示)
▼コメント
ゴーストさん 2012/06/28 20:38 編集
売れっ子作家が皆、佐藤みたいに性悪のひねくれ者だったら大変だね まっそんな事はありえないけどw
ゴーストさん 2012/07/05 20:26 編集
自虐風自慢→愚痴→宣伝
で構成されてる本で買ったことを後悔した
この人のかくもんつまらん
ゴーストさん 2012/09/01 18:11 編集
海猿で初めてこの人の存在を知った。 海猿は原作のほうが比べ物にならないくらい面白い。ぜひファンレターを出したいが
宛先がわからん。 
海猿の面白さは神の領域だと思う。
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