手塚治虫と宮崎駿

日本アニメーションの力日本アニメーションの力―85年の歴史を貫く2つの軸

 たけくまメモ(津堅信之の『アニメーション学入門』)にてアニメ史研究家というので興味を持ち読んでみました。85年のアニメーション史をざっくり紹介しています。でもメインは「手塚治虫と宮崎駿の対立」です。

 宮崎監督の手塚批判は今までにも読んだことがありましたが、ダンマリを決め込んだ手塚先生の内心を周辺からの言葉で推測しています。黙りを始めたのが「風の谷のナウシカ」で完敗したからでは?というのが面白かった。負けず嫌いの神様らしいです。

 虫プロが「鉄腕アトム」ではじめた毎週30分のTVアニメ。3コマ撮りなどの省力化を生み出したり、クオリティーが落ちようが過労死しようが、結局大成功してアニメーションの製作体制が一変してしまった。そこへ東映系の質の高いフルアニメーションに固執する宮崎監督が「風の谷のナウシカ」で社会現象になるほどの大ヒットを飛ばす。でも今度は製作体制が変わることはなかった。そして「アニメ業界などと呼べるものはない」といってジブリだけが風の谷の独立王国のような孤高の存在となる。

 その永く続いた不毛な世界も世紀があけて変化が起きる。「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」が1996年に米国ビルボードのビデオチャート1位になり、それまでどこの国が作っているかわからないアニメが日本製「anime」として認識された。制作体制も少しずつ変わり、デジタル化で労力も減り、新しい表現もできるようなった。

 これから数年、虫プロがつくったTVアニメの体制、特に末端のアニメーターが生活できる水準になるのか?宮崎監督の後継者が育つのか?そこがクリアーにならないと、国がいくら箱モノこさえてもコンテンツビジネスの中核になりません。

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