巨匠に学ぶ構図の基本
西洋絵画から浮世絵まで、いつまでも心に残る「名画」たち。その中にある構図の基本を解りやすく、間違った作例と対比させて解説する。
「なぜ、この構図が良いのか?」を見慣れた名画の構図を変えて、対比で説明してるので感覚的に理解できます。同シリーズの「構図エッセンス」と説明的には繰り返しな所が多いですが、こちらはより簡潔に整理されている。構図の基本型を9つとし、それに調整を加える14の要素。物語性を示す5役4景。メッセージ性を入れる視線や手足の表現などを解説しています。
「5役4景」はそのままストーリーです。主役・敵役・脇役・狂言回し役・背景(役)。読み切り漫画の扉絵などの一枚絵に、これがハマらないとストーリーが整理されていないことになる。映画ポスターも、この一枚に物語りを乗せて興味を持たせているので、一枚絵にまとまらないストーリーは共感してもらえない。構図もそうですが、名画の物語性は勉強になります。
■巨匠に学ぶ構図の基本(視覚デザイン研究所)
ISBN-13: 9784881082058
▼目次(巨匠に学ぶ構図の基本 名画はなぜ名画なのか?)
もくじ p.2
名画の3条件
1.共感を生む:名画は生き生きと元気づける p.4
2.美感を感じさせる:名画はしみじみと心を癒す p.10
3.歓迎感を表す:名画はわくわくとさせ楽しくする p.12
第1編構図の基本型 p.14
構図の9型式構図で共感を生む p.16
1.シンメトリー型:威厳・神聖・伝統を表す p.18
2.シンメトリー崩し型:優しく穏やかな自然さを表す p.22
3.衛星型:開放的な華やかさを表す p.24
4.囲い込み型:周辺を包むと安心が現れる p.26
5.流水型:自然で自由な癒しを表す p.28
6.パノラマ型:楽しく開放的でのびのび p.32
7.対決型:厳しい緊張がドラマの始まり p.34
8.均一型:生命のリズム・心臓の鼓動 p.38
9.片流れ型:都会的なスマートさを表す p.40
コラム.片流れ:右流れは、はかなさ、右受けは安定感を表す p.42
コラム.風景画の遠近感表現4型:消失点型・湾曲型・ジグザグ型・囲い込み型 p.44
コラム.XとK ピカソとマティス:画家には独自の共感ポジションがある p.46
第2編構図の組み立て p.48
構図の14要素 p.50
1.版面率:低くすると静かな情緒を表す p.52
2.情報量:多は賑やかな活気を表す p.56
3.斜水性:線を傾けると生き生きする p.58
4.ジャンプ率:低くすると優しく穏やかに p.62
5.プロポーション:高めるとスタイリッシュに p.64
6.粗密対比:対比させると緊張する p.66
7.曲直対比:曲線の優しさが引き立つ p.68
8.鋭鈍対比:シャープに生き生きする p.70
9.痩肥性:痩は繊細な拘りを表す p.72
10.ひと気度:低くすると静かな精神性が p.74
11.群化:構図をすっきりさせる基本 p.76
12.バランス:構図を安定させる基本技術 p.78
13.アクセント:生き生き・軽快・爽やか p.80
14.水平線の高さ:視線を下げると迫ってくる p.82
第3編主役を引き立てる p.84
絵画は5役4景で組み立てる p.86
1.中央に・大きく・強く:主役を強める正攻法 p.88
2.敵役をカット:主役が強くなる p.90
3.添え色:主役がはっきりする p.92
4.領地を広く:優しい主役がすっきり p.96
5.視線を集中する:小さな主役が注目を集める p.100
コラム.視線で表す:主役は誰か? p.102
コラム.主役のトリック:トリッキーで楽しい構図 p.104
コラム.主役なしの構図3型:パノラマ型・均一型・散開型 p.106
コラム.背景は物語性を深める:伝えたい気持ちをはっきり伝える p.108
第4編人体のメッセージ p.110
人体のメッセージ「視線」視線は感情表現のエース p.112
相思と対決の視線:交差は相思を表す p.114
誘導する視線:始まりと受けで完結する p.116
見返り美人の複層視線:ドキッとさせる p.118
視線の後方:過去への感謝を表す p.124
視線3型:対立・集中・散開 p.128
人体のメッセージ「手足」手足の閉鎖と開放 p.130
コラム.絵画は描写のうまさではない:ゴッホが描いた浮世絵 p.132
コラム.「ありえないシーン」が心に響く:ドラマの始まりを暗示する p.134
所蔵先リスト p.137
参考文献リスト p.140
画家名索引 p.141
奥付 p.142