借りぐらしのアリエッティ 絵コンテ
ジブリの次世代監督を養成するために、37才の中堅アニメーター米林宏昌氏を監督に起用した映画。
滅びゆく小人の核家族と、心臓病の手術ため屋敷に越してきた男の子との交流を描く。東京都小金井市周辺という設定で、夏の1週間だけの物語。小人なのに迂闊すぎる少女アリエッティ(14歳)と、12歳にして人生を達観している少年、翔(しょう)との淡い恋が軸になります。
■借りぐらしのアリエッティ(Wikipedia)
■「借りぐらしのアリエッティ」絵コンテ発売! #245(YouTube)
実力のあるアニメーターだけあって絵がしっかりしていて絵コンテとして綺麗に整っています。小人サイズから観る世界は楽しそうだし、巨大なGがジブリ映画の画面に出るのも面白いけど、読んだだけではクライマックスがどこか判らなかった。
宮崎駿の関与は脚本までで、絵コンテは見せない方針だったそうです。次世代の監督を育てるのに必要なことなのでしょうが、作品の面白さに直結する絵コンテはチェックして欲しかった。
もちろん完成した映画では絵が綺麗とか、音楽が美しいとか、アリエッティの声優が上手いとか見所があるでしょう。しかしジブリの看板を背負った期待値からすると「つまらない」という評価が多くなってしまっている。結局、ナウシカやラピュタでジブリファンになった層には「またしても僕らは無視ですか」ということです。そして近年、メインターゲットにしている女性受けの作品なのでしょう。
にしてもジブリは恐い。会社トップの鈴木プロデューサーと、業界の生き神様の宮崎監督に呼び出され「お前が監督をやれ!」と切り出され「監督って、思想とか主張が必要ですよね。僕にはそれが無いし」と答え、2人に「それは原作に書いてる!」といわれたら断る選択肢なんて・・・鈴木プロデューサーも、宮崎監督に反対されない実力のあるアニメーターで、社内評価で『人柄が好さそうだから』みたいなことで指名してるし。
しかし、監督業って素材になる原作やら創作やらを、自分で探したり用意したりして、アニメ作品にすることが楽しみでもあると思うのです。なのに原作は宮崎監督が用意して、作品の評価(興行)は鈴木プロデューサーが仕切るジブリのおかげみたいになっている。
あとゲド戦記の時もそうですが興行収入は悪くない。むしろ高くつく製作費が問題の様です。ジブリの看板作品ではなく、メディア興行システムを維持するには、宮崎監督の後継者より、鈴木プロデューサーの後がより重要な気がする。
ISBN-13: 9784198629939
▼目次(借りぐらしのアリエッティ スタジオジブリ絵コンテ全集17)
もくじ p.2
絵コンテの見方 p.4
用語解説 p.5
Aパート(カット1~297) p.7
Bパート(カット298~474) p.145
Cパート(カット475~700) p.223
Dパート(カット701~996) p.315
資料編 p.459
絵コンテと本編の違い p.460
STAFF&CAST p.461
DATA p.465
奥付 p.466
付録:月報2010年7月(冊子12ページ)
小さな人たちのいる場所 梨木香歩 p.2-6 /「借りぐらしのアリエッティ」への道 文責:スタジオジブリ p.7-12