耳をすませば 絵コンテ
この映画のねらい、「この作品は、自分の青春に痛恨の悔いを残すおじさん達の、若い人々への一種の挑発である」
耳をすませば スタジオジブリ絵コンテ全集10
近藤喜文監督 /宮崎駿(脚本・絵コンテ)
この絵コンテには「耳をすませば」と同時期に制作されたCHAGE&ASKAのプロモーションフィルム「On Your Mark」のカラーイメージボード付きの絵コンテも収録されています。
原作の少女漫画は華も捻りもないごく普通な作品。もはや純文学化してしまった様な古いタイプの少女漫画だ。それをジブリのおじさん達が手を加えると鮮やかでリアリティーのあるストレートな青春物語になった。
「平成狸合戦ぽんぽこ」のラストを引き継ぐ形で都市の夜景カットで始まる。設定モデルは京王線の聖蹟桜ヶ丘周辺。原作の少女マンガではハッキリしない所を徹底して自分たちのリアルで埋めていったことがわかる。携帯もインターネットもない時代だし、茶髪もいじめも妙な教師も目に付かない。まるで田舎の中学校のような世界。「今」なら白けてしまってもう描けないだろう。
この絵コンテは資料として使える。少女漫画原作なのでオーソドックスなシーンが多く、構図も背景も使いまわしがきくほど参考資料として活用できます。キャラも細かいしぐさまで決められて、当然動きのある絵になっている。ネームに悩んだら眺めてみるのも良いでしょう。
もう若くない人々が見れば、現実にはありえない恥ずかしいシーンがいくつもある。楽器が加わりつつカントリーロードを歌うシーンや最後に中学生が結婚の約束をするシーンなど・・この作品は現代の学園モノの中にはっきりした区切りなくファンタジーが混在している。それが後に「腐女子をつくり出した元凶」の一つに数えられるわけだが・・・ジブリ作品では3番目に「大スキだ!!」
▼目次(耳をすませば スタジオジブリ絵コンテ全集10)
絵コンテの見方 p.4
用語解説 p.5
耳をすませば
Aパート(カット1~351) p.7
Bパート(カット352~648) p.157
Cパート(カット649~1033) p.281
On Your Mark
ストーリーボード集 p.452
カット1~104 p.459
資料編 p.511
絵コンテと本編の違い(欠番一覧)
耳をすませば p.512
On Your Mark p.512
STAFF&CAST
耳をすませば p.513
On Your Mark p.516
DATA
耳をすませば p.517
On Your Mark p.517
アニメーション画面処理について p.519-532
奥付 p.534
付録:月報2001年12月(冊子12ページ)
本上まなみ p.2-4 /作品論 おかだえみこ p.5-12