世界名作映画絵コンテ図鑑
アカデミー賞の白黒映画からスター・ウォーズまで、有名映画43本の絵コンテを紹介する絵コンテ図鑑です。
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第1~9章の章立てですが、制作の時代や名監督別、アニメーション、他国(インド・フランス・日本・韓国など)、21世紀~最新映画といった分類で整理されています。
各映画の紹介は、作品概要と絵コンテ作業にふれた制作話、数~数十カットの絵コンテまたはコンセプトアートの掲載です。
絵コンテ(ストーリーボード)は1930年代にウォルト・ディズニーが撮影現場のないアニメーションで作品の骨格を固めるために始め、ハリウッド全体に浸透して行きます。
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風立ちぬ 絵コンテ
「崖の上のポニョ」から5年、宮崎駿監督11本目の劇場用長編アニメです。公開後に引退を表明していて「長編」作品としてはこれで仕舞になります。
「風立ちぬ」は、ポニョ制作終了後の2008年後半から構想し、原作漫画を模型雑誌「月刊モデルグラフィックス」2009年4月号~2010年1月号の全9回で連載(10月号は休載)している。
この趣味の範囲で描かれた漫画を、例によって鈴木プロデューサーの説得によって映画化することを決めます。戦争を否定的に描く作品で、好戦的な戦闘シーン(得意技)を封じられるとき「作家は往々にして傑作をモノにする」で説得。
ポニョの絵コンテ同様、ラフな鉛筆線画に水彩絵の具で、ところどころ着色というカラー絵コンテです。
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コクリコ坂から 絵コンテ
ゲド戦記(2006年)に続く宮崎吾朗氏による第2回監督作品。
あらすじ: 東京オリンピック開催を目前に控える1963年の日本。横浜にある港南学園では、明治時代に建てられた古い建物(文化系部活動の拠点)通称「カルチェラタン」の取り壊しを阻止すべく、反対運動が起きていた。そんな事件の中、高校生ながら下宿を切り盛りする小松崎海と、新聞部で学園自治に奔走する風間俊は出会い、心を通わせるようになる。
原作は1980年に『なかよし』(講談社)にて連載された『コクリコ坂から』全8話。高橋千鶴(作画)/佐山哲郎(原作)
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借りぐらしのアリエッティ 絵コンテ
ジブリの次世代監督を養成するために、37才の中堅アニメーター米林宏昌氏を監督に起用した映画。
滅びゆく小人の核家族と、心臓病の手術ため屋敷に越してきた男の子との交流を描く。東京都小金井市周辺という設定で、夏の1週間だけの物語。小人なのに迂闊すぎる少女アリエッティ(14歳)と、12歳にして人生を達観している少年、翔(しょう)との淡い恋が軸になります。
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トップをねらえ2! 画コンテ集
「トップをねらえ2!」のOVA全6話と合体劇場版新作カットを加えた、ガイナックスの絵コンテ集です。
全6話を6名+1で分担しています。巻末のインタビューで、各話絵コンテの違いが述べられていて面白いです。印象的なシーンがことごとく(「ワープです!」とか、3話の回想シーンとかが)絵コンテを担当する人の個性によるのだと分かります。
全話を1冊に合体したものだから総808ページ、重さ約1.1キロと、角を使えば鈍器にもなるボリュームです。ブックスタンドに乗らないかも…と思いましたがギリギリなんとか使えた。さらに驚きの価格で、あのガイナックスらしからぬ、お得感のある絵コンテ集です。
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アニメーションがつくれる 絵コンテ入門
13人の監督・演出家が描いた絵コンテを元に『アニメの設計図である絵コンテとはどうあるべきか?』を探る絵コンテの入門書。
絵コンテに描き方はない。だから描き方の本は作れない。
ではどうしようもないので、アニメーション制作の決まり事、絵コンテに書かれる専門用語を解説し、絵コンテを読めるようにして、実際の絵コンテを観て学び盗ってもらうのが趣旨です。
だから、絵コンテの描き方入門というより、読み方入門という感じになります。それほどまでに13人の絵コンテは違う。緻密に描き込んだものから、どうしてこれで映像になるのか?と思うほどあっさりした絵コンテまであります。
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サマーウォーズ絵コンテ 細田守
オリジナル劇場用アニメ「サマーウォーズ」(2009年夏公開)の絵コンテ。
上田に住む戦国武将の末裔一族が、ネット世界の「オズ」に対するサイバーテロと戦う物語です。オリジナルアニメですが、大ヒットした「時をかける少女」の細田守監督によるので安心して観ることができます。
整理された線画で、素人にも解るきれいな絵コンテです。本編をみてなくとも想像力があれば、小説を読むように光景を思い浮かべ、映像として動いてみえます。また映画で見落としていたことも、画面で伝えたいことは文字で記されているので分かるかと思う。
巻末に絵コンテについてのロングインタビュー。やっぱり絵コンテフェチな監督の趣味全開トーク。絵コンテからみるアニメ監督の評価・分類なんかも読めて面白いです。
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崖の上のポニョ 絵コンテ
「ポニョかわいいよ、ポニョ」で始まった、子供に喜んでもらうためのアニメ。
NHKプロフェッショナル仕事の流儀「宮崎駿のすべて~「ポニョ」密着300日~」(2008年8月5日放送)で、この絵コンテを含めた創作について詳細なドキュメントが綴られている。→プロフェッショナル 仕事の流儀スペシャル 宮崎 駿の仕事(amazon)
今までは色鉛筆で単色の影が付くのが基本だった絵コンテが、水彩絵の具でフルカラーになりました。映画を観ていなくとも、カラー4コマ漫画を観ているようで楽しめます。トトロと同じく子供向けなのですが、さらに『幼児』が第一対象になっています。そのためか『抱きしめる』シーンが多く、不安を取り除くかのごとくです。ストーリーも意味深なキャラたちが世界の危機を囁きますが、そこは主軸ではなく謎のままワイプアウトで終了する。
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天空の城ラピュタ 絵コンテ
風の谷のナウシカで空前の大ヒットを成した宮崎駿の次作品。
ナウシカの制作委員会だったスタジオジブリを正式に会社組織にしての第1作。とわいえナウシカで力を出しきった監督はしばらく他の仕事をしてから開始する。長い準備期間と壮大なテーマを扱ったナウシカが娯楽映画としては難しかったとの反省から、単純明快な「空を舞台とした冒険活劇」になった。
■天空の城ラピュタ(Wikipedia)
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もののけ姫 絵コンテ
当初「ナウシカ2」ともいわれたほど壮大なテーマを持った作品で、ジブリの原点に戻ったような映画。そしてスタジオジブリがディズニーと組んで世界進出を果たし成功させた作品でもある。
絵コンテ集には「月報」という付録があって、今回は井上雄彦。「バカボンド」でも刀を持つ以上人の死は避けられず、その表現に悩んでいたところ宮崎駿の映画ですら「目を背けたくなるシーン」を真正面から描いていることに勇気づけられたようだ。
この絵コンテの見物は宮崎駿以外の筆跡と代用絵コンテなるもので補足されていることです。これは制作終盤になって結末を弄られた所為だとされていて、結果15分尺が延び(ジブリの制作能力で3ヶ月分)監督自ら絵コンテなしでレイアウト作業をし、総動員態勢やデジタル作業なども導入して1ヶ月オーバーで完成させた経緯があります。
■もののけ姫(Wikipedia)