パース塾
著者が十数年間の漫画専門学校の講師生活で必要と感じた「漫画を描くためのパース講座」
パース塾―画力がメキメキUPする!いちばん簡単な遠近法講座 イラスト・漫画・風景画、すべて
講師として蓄積したノウハウをもとに簡単で解りやすい遠近法(パース)の解説書。パースに苦手意識のある人や超初心者向けの内容になっています。
「パース塾」は漫画の描き方の実用書ではヒットしたようで、すでに「パース塾2 実践編」がより具体的な作画方法を載せて発売している。それに比べればパース塾1は基本編という感じで、基礎の部分を解りやすくということに徹しています。パースを学んだことのある人には物足りないかも知れません。
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ペンで描く スケッチから細密描写まで
マール社のやさしい人物画ややさしい美術解剖図と同じシリーズで、外国人著者の翻訳本です。原書は古く1930年の「Drawing with Pen and Ink」で古典になります。
戦後、手塚治虫が今の漫画の型を創るより前に、海外で確立していたペン線画のみで表現する描き方です。今のトーン主流の漫画解説書ではペン線は「直線の入り・抜き・円・カケアミ」程度で終わってますが、実はその先にも多彩な表現方法があります。その一つ一つを丁寧に解説し、後半では多才な線画家たちの作例を数多く載せていて、好みのペン処理をみつけることができるでしょう。
今の漫画を全てトーンなしで描くのはキツイでしょうが、ペン線のみで表現するコマは独特の雰囲気になる。回想シーンなど、ここぞというときの効果に使うのが良いかと思います。漫画版「風の谷のナウシカ」や「ベルセルク」にみられる線画処理方法が解ったのは収穫でした。
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美少女スーパートーンテクニック
萩原一至(BASTARD!!)や美樹本晴彦(マクロス7 TRASH)のアシスタントをしていた小山雲鶴(作家名:みすずみ俊明)のトーンテクニック集。
道具の選び方から始まるトーンワークの教則本。アナログのものですが、コミスタで使うデジタルトーンも原則は同じ使い方になります。以前、紹介した「スクリーントーン百科」が劇画調の背景メインのトーンテクニック集とすれば「美少女スーパートーンテクニック」は少年漫画調のキャラと効果メインのトーンテクニック集です。
やっぱり「BASTARD!!」はすごい。ストーリーはさっぱり解らなくなっても作画、特にトーン技術は最高レベルのまま、ずっと維持している。そのトーン技術の一部が所々に講座として出ているので参考になる。
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漫画バイブルNo.2 構図破り編
「漫画バイブル」シリーズの2冊目。1枚絵から漫画のコマ割りまで、人を惹きつける構図について解説しています。
CHAPTER1・2は魅せる構図についての法則や、漫画らしいよくある構図の描き方を解説します。CHAPTER3は構図からみる漫画のコマ割の仕方をたくさんの作例をもって紹介します。これは見せたいコマなど絵から来るインスピレーションでの漫画の描き方でもあります。
タイトルには「構図破り」とありますが、これは「漫画らしい構図」という意味に受けとりました。「漫画のスキマ」を読むと、漫画のコマは視線を枠の外に流すために1枚絵のイラストと違って構図は崩れている(安定していない)。ゆえに絵の中で視線を動かすくらいが「構図破り」なのでしょう。1枚絵でも視線が流れるくらいに魅せるには「魚眼レンズ」のように構図が崩れていた方が好いこともあるのです。構図が破れる・崩れることで視線を誘導することが「漫画らしい構図」なんだと思います。
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激マン7 画材テクニック
コミッカーズの漫画技法書、激マンシリーズの7冊目。アナログでカラーイラストを描くのに必要な画材を選び方から解説します。
Step01はそれぞれの画材の種類と特徴を知って、自分に合った画材を探します。Step02は代表的な画材の紹介とイラストメイキング集になっている。Step03はカラーイラストに必須な色の使い方・配色について学びます。この章はデジタルにも共通する。
■激マン7 画材テクニック(美術出版社の詳細)
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漫画バイブルNo.5コマ割り映画技法編
いつも読みごたえのある「漫画バイブル」シリーズの5冊目。映画のカメラワークを漫画のコマ割りに応用する方法を解説しています。
漫画で最初に映画の技法を積極的に取り入れたのが石ノ森章太郎先生だと聞いたことがあります。以来、映画を観察して見よう見まねでやってきた訳ですが、今回「漫画バイブル5」で漫画描きのために詳しく映画技法を紹介してくれている。
CHAPTER1は「映画のカメラワーク」と「漫画のコマ割り」の基本を解説します。CHAPTER2では映画の技法を1つ1つ漫画の作例を踏まえて解説しています。CHAPTER3は2つの作品のメイキングで、コマ割りを中心に見ていきます。
読むとカタカナの専門用語があり難しい印象を受けますが、作例を見ると漫画でよく見かけるシーンが多々ある。正直、これらの映画技法を覚えて、考えながらコマ割りすると知恵熱で頭がイタクなりそうです。でも、自分のネームにモノ足りなさや、コマ割りにマンネリズムを感じるようなら参考になるでしょう。
■漫画バイブル5 コマ割り映画技法(マール社)
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激マン9 今すぐマンガが描ける本 応用編
激マンシリーズの9冊目。激マンシリーズ1の「10ステップで完成!今すぐマンガが描ける本」の次に読むための本として作られたそうです。激マン1が漫画制作の流れを中心に10ステップで完成させるため、詳しくふれなかった技法やテクニックを「今すぐマンガが描ける本 応用編」は補足しています。
新しい本ということで、スッキリまとまっていてページ数も少なく読みやすいです。特にパーストレーニングとネーム作業については初心者向きで解りやすいと思います。ただ「応用編」というわりには基本に近いことがほとんどで、内容も過去の激マンシリーズや「漫画のスキマ」などにあったことが多い。やはり雑誌コミッカーズの特集記事やコラムをまとめたテクニック集とみるのが正しいかと。
あと表紙イラストが吉崎観音だったり、みずしな孝之が4コマ(1本だけ)を描いてたりしますが中身には一切係わっていません。
■激マン9 今すぐマンガが描ける本 応用編(美術出版社の詳細)
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マンガのしくみ
マンガのしくみ―プロのマンガ家を目指す人のグラフィックバイブル
これから漫画家を目指す人、編集とか漫画周辺で働きたい人向けの仕事図鑑です。1冊の本にマンガの描き方から業界のしくみまで、広く浅く解りやすく、詰め込めるだけ詰め込んだ内容になっている。初心者が知っておきたいポイントをしっかり押さえていて、全ページの約半分が「アナログ漫画の描き方」、残り四分の一ずつ「デジタルマンガの描き方」と「漫画業界の話」になっています。
◇マンガのしくみ~プロのマンガ家を目指す人のグラフィックバイブル(出版社:Works Corporation)
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HOWtoお絵描き
■萌える絵のかきかた教えてくれ ぷちまとめ:「漫画で見る萌え絵入門>基本の人体」はちょうど悩んでいる所が出ていて役立ちました。萌える絵の描き方というよりは、漫画デッサン講座という感じです。「萌え絵」は目の描き方に代表されるようにデフォルメがポイントかと思っています。でもそれを理論的かつ統計的に説明されている記事はみたことがありません。だれか頑張れ!
■MANGA描こうぜ!!管清和(代々木アニメーション学院講師):漫画の描き方講座
■Pose Maniacs:皮を剥いだ3D人形でデッサンの練習をするサイト。僕には1日5分、遊び気分で練習できませんでしたが面白い。右脳を鍛えて絵が上手くなる練習法のようです。
■Webマンガ塾inコミックテクノ:モノクロ漫画のテクニック集です。にしても「ゴルゴ(子)先生」がパースのレクチャーしているのが・・・
■アニメ製作現場のお話 <ダメ絵>撲滅キャンペーン:宮崎駿が構図について語っている。というかキャンペーンをしなければならないほど陥りやすい失敗です。
■TEDDY-PLAZA:背景ノウハウ(色塗り・パースなど)パースのところは上と共通している。
■aquamary images ▼メニュー>メイキング:こちらも背景ノウハウ。特に写真トレスのところは参考になった。
■漫画家・流星光の個人サイト『タイムマシーン・ジャーナル』:漫画アシスタントの世界/漫画の描き方。>「漫画の描き方/上達の仕方」は実践的で参考になる。
■⊂漫画アシスタントテクニック⊃:実際に漫画家のアシスタントをして得た知識。
■CG背景講座 BLANK COIN:アニメの背景の描き方
スクリーントーン百科
コミスタをいじっていると「ペン入れ」はアナログの時とぜんぜん違う。タブレットを使っている時点で、アナログのテクニックはほとんど役に立っていないと思う。
その一方で「スクリーントーン」はモアレが修正されるなどデジタルな特長はありつつ、アナログのテクニックが使えることが多い。それだけスクリーントーンを忠実に再現していることになる。そこでアナログのスクリーントーンについて勉強しなおす必要があると思った。
スクリーントーン百科/福留 朋之
コミッカーズの前身ともいえる雑誌MT(マンガテクニック)に載った記事を再編集したものです。スクリーントーンを初めて使った漫画家から、人気漫画家らのトーンの使い方や、アシスタントのスーパートーンテクニックまで載っています。10年前の本ですがなかなか貴重な情報が載っていると思う。