人を惹きつける技術
『キャラが起つ』という言葉を世に広めた劇画村塾の小池一夫塾長による、売れる漫画の創り方入門です。
人を惹きつける技術 カリスマ劇画原作者が指南する売れる「キャラ」の創り方(講談社+α新書)
キャラクターというフィルターを透して世の中を見れば、人間関係やビジネスに役立つことがある。と色気を出した書き方をしていますが、大半は『漫画(=キャラクター)の創り方』の話をやさしい語り口で教えてくれます。多くの漫画家を輩出した劇画村塾(Wikipedia)が会社化され、塾長の手を離れたことで、そこで教えられてきた講義の一部が本になったといえる。
ここ数年、漫画専門学校などの講師本がたくさん出ました。特にストーリー系となると、ハリウッド映画の脚本論まで出てきて複雑になりがちです。ところが小池塾では『漫画=キャラクターだから、まずキャラを起てろ』の一本道になる。漫画を描かない、でも漫画を深く知っている、漫画原作者だからこその整理された思考です。
32ページ程度の短編で、しかも最初の7ページで編集者に認めてもらうには、壮大なストーリーも、複雑な世界観も、美しい背景などの作画技術も、全部後でいい。まずは魅力的な小さなサイズの主役キャラを7ページで起てろ、ということです。そのための具体的な方法、毎日すべき練習などを示してくれます。さらっと読めるけど大事なことばかりだから2度は読んだ方がよいほどです。ただ例えで出てくる作品が名作だけど古いので、若い人は知っているかな?という所はあります。
■人を惹きつける技術 カリスマ劇画原作者が指南する売れる「キャラ」の創り方 小池一夫(講談社)
余談だけど、昔、高橋留美子先生が「らんま1/2」の創作についてインタビューを受けて、1.主人公は男の子→2.水をかぶると女のコになる→3.そんな体質なら名前は早乙女→4.登場はパンダと走りながら闘う、と云うように答えていて、なんでそうポンポン決まるのか・・・天才?いや天然?とか思いました。でも、これ読んでやっと理解した。1.はサンデー連載である以上変えられない。2.は主人公の弱点。3.は一目で読める判りやすい名前。4.キャラを起てるのに迷うなら、とにかく(女を裸で)走らせろ。だったんだな~と。しかし、弱点を魅力にで「水をかぶると女のコになる」を発想できる所が、才能なのか、小池塾の訓練の賜なのかは訊いてみたい。
ISBN-13: 9784062726344
▼目次(人を惹きつける技術 カリスマ劇画原作者が指南する売れる「キャラ」の創り方)
はじめに ヒットクリエイターが学んだ「キャラクター」の創り方とは p.3
もくじ p.8
第1章国境、時代、メディア ボーダーを越えて異文化と共生する「キャラの力」
キャラクターに国境はない p.14
時代を越えて甦るキャラの力 p.15
キャラはメディアを横断する p.18
エンターテインメントの中心 p.20
キャラは人の心を動かす p.23
心と心をつなぐメディア(媒体) p.26
キャラクターは本能である p.28
世界はキャラクターで動いている p.29
キリストは世界一のキャラ p.32
オカルトとキャラクター p.34
ロボットとキャラの深い関係 p.35
キャラの大きさは消せばわかる p.36
第2章ヒットするキャラの「三角方程式」
ドラマよりキャラ p.40
子連れ狼ができるまで p.45
キャラクターは一人では起たない p.50
主人公とライバルは引き立てあう p.53
主人公には「弱点」を、ライバルには「欠点」を、引き回し役には何を……? p.55
主人公には弱点をつける p.55
ライバルキャラには欠点が必要 p.59
引き回し役に必要なのは p.60
コンビキャラクター p.61
主人公には「オーラ」を、ライバルには「カリスマ性」を p.63
「オーラ」と「カリスマ」 p.63
ヒットするキャラの三角方程式 p.66
DEATH NOTEに見る方程式 p.67
第3章ヒットキャラが持つ「九ヵ条」
1.キャラには「三つの願い」をつける p.70
神様への「三つの願い」 p.70
読者が主人公を変えた弐十手物語 p.72
2.「なくて七癖」をつける! p.75
癖がリアリティをつける p.75
3.「しぐさ」で感情を表現する p.78
感情を視覚的に表現する p.79
4.「物」でキャラクターを起てる p.80
持ち物がキャラクターを語る p.80
乗り物や動物でキャラを起てる p.85
5.その場にいないキャラを起てる「噂」のテクニック p.89
人の噂がキャラを起てる p.89
6.「謎」がキャラクターの魅力を引き立てる p.91
謎がページをめくらせる p.91
7.「状況」でキャラを起てる p.94
同じ状況でも十人十色の行動 p.94
極限状態はキャラが起ちやすい p.97
8.魅力的なセリフを喋らせるには? p.100
マニアはプロにはなれない p.100
聞き返されるような名はダメ p.103
読みたいと思うタイトルを p.104
9.キャラクターを起ててみよう p.106
キャラクターの起て方実践 p.106
第4章キャラを魅力的にする「プロファイリング」
なぜプロファイリングなのか p.112
「お客さん」はキャラクター p.115
おばあちゃんのポット p.117
孫子の兵法と人たらし p.120
友人のキャラクターをつかむ p.123
自分だけのキャラクターを持とう p.125
第5章キャラクター創りのマル秘テクニック
一日一時間、必ず机の前に座る p.130
モノ創りの基本は集中力 p.131
逃げてはダメ p.138
毎日三つ顔を描こう p.139
キャラクターボックスを作ろう p.142
アイデアは組み合わせの妙 p.144
アイデアに苦労した『首斬り朝』 p.146
三大要素は「構成・構図・消去」 p.148
ラストの「遊び」 p.152
構図の極意 p.154
大きなキャラと小さなキャラ p.158
短編作品を仕上げるコツ p.165
感性のアンテナを鍛える p.167
おわりに p.173
小池一夫作品リスト p.177
奥付 p.191
小池一夫のはじめてのブログ(小池一夫公式ホームページ)
◆小池一夫のキャラクター新論
◆マンガの創り方 山本おさむ
◆ストーリーメーカー 創作のための物語論
◆10年メシが食える漫画家入門