マンガ編集者が語るおもしろさの創り方
元小学館の編集者で「週刊少年サンデー」「ビックコミックオリジナル」などの創刊に加わり、「ビックコミック」「ちゃお」などの編集長を歴任した著者が、これから漫画家を目指す人たちに向けて優しく語る指南書です。
ページ数は140ページそこそこ、しかもページ下1/3は余白なので文章量は大したことありません。なのに目次が膨大な項目になっている。統一した理論を述べるというより、漫画を描く前、持込に来る前に注意して欲しいことを箇条書きにしている印象を受けます。
忙しい編集者が持ち込み原稿を読んで、何度も基本や初歩的なこと繰り返し説明している。だったら本にするから学習してくださいということなのでしょう。編集者がどこを観て、漫画をどう判断しているのかが解ります。そしてストーリーに詰まったときのアドバイスなど、困ったらその項目を読むよう116ページに「この本の利用のしかた」が書いてある・・・ちょっと不親切です。でも素晴らしい助言がいっぱいあるので、自分なりに整理してまとめてみるのも良いかもしれません。
■マンガ編集者が語るおもしろさの創り方(同友館オンライン)
■マジメな本なのだけど(漫棚通信ブログ版)
▼目次(マンガ編集者が語るおもしろさの創り方)
まえがきマンガ家デビューを目指すあなたに p.3
PART1 マンガ家にも適性がある
作家の条件 p.20
健康ですか p.20
好奇心旺盛・野次馬根性がありますか p.20
趣味を持っていますか p.21
物語が好きですか p.21
おもしろいと思うセンスがありますか p.21
観察力がありますか p.22
忍耐強いですか p.22
責任感がありますか p.23
あなたは幸せですか 不満がありますか p.23
描くことがなにより好きですか p.24
PART2 いますぐ始めよう!プラス・ワン作戦
新しい感覚や新しい情報は、早い者勝ち p.28
ネタ集めのアンテナを張る p.28
アンテナの感度を高める意識 p.28
創作ノートをつくる p.28
おもしろさをノートする p.29
メモ帳を持ち歩く p.30
役立つ資料をつくる p.30
宿題を持つ p.31
PART3 作品をつくる
お話づくりの基本形はふたつ p.34
基本その1 4つのW p.35
お話(ストーリー)は設定から始まる p.35
「いつ」「どこで」「だれが」「なにをするか」 p.35
「だれが」 p.35 /「なにをするか」 p.35 /「どこで」 p.36 /「いつ」 p.36
基本その2 起承転結 p.37
お話づくりのプロセス p.37
ネームをつくる p.38
マンガ作品のまとめ(構成) p.38
PART4 本番 おもしろさを創る
おもしろさって何だ p.42
見たいキャラクターはおもしろい話になる p.45
読者が見たいキャラクター p.45
読者を引きつけるもの p.46
主人公(キャラクター)を行動させる理由 p.46
自衛本能が生んだ行動とキャラクター p.47 /知りたいという本能
願望が生む行動とキャラクター p.50 /変身願望
不満や欲望が生む行動とキャラクター p.51
恋心が生むキャラクター p.53
人の心をのぞくキャラクター p.55 /キャラクターづくりは性格づくり
読者に受ける主人公 p.58
おもしろさは主人公で決まる p.58
条件 1 主人公は読者の味方 p.59
条件 2 信じられる正義の人 p.60
条件 3 同情心に訴える p.60
条件 4 自己犠牲 p.61
条件 5 人間として生きる p.62
条件 6 復讐と報復 p.62
条件 7 勝者と敗者 p.63
条件 8 孤独 p.64
条件 9 強さと弱点 p.65
条件10 祈り p.66
主人公をいきいきさせるには p.67
その1 主人公と対話する p.67
その2 主人公をドロ人形にしない p.67
その3 主人公を生かすも殺すも脇役次第 p.69
その4 無神経な主人公にしない p.70
読みたいお話づくり p.71
人に話したいことをマンガにする p.71
作品は大筋づくりから p.71
事件はこんなとき起きる p.76
二作目がつくれない人に p.77
生活環境を変える p.78
ひとつの条件をつけてみる p.78
設定を変える p.79
性格を変える p.79
もしもし法 if物語 p.79
作品の描き出し p.81
お話をおもしろくするエピソード p.82
エピソードはあなたのなかにある p.82
あなたが好きなこと、いやなこと p.82
エピソードの役わり p.84
エピソードにつまずいたら p.86
エピソードづくりの参考に[1] p.87
ラブストーリーの場合 p.87
恐怖もの、ホラーものの場合 p.88
ファンタジーものの場合 p.89
アクションものの場合 p.90
ミステリーもの、サスペンスものの場合 p.92
時代ものの場合 p.93
エピソードづくりの参考に[2] p.95
肉体と精神 p.95
一番愛する人 p.95
人は仮面をかぶっている p.96
組織と個人 p.97
天秤にかける p.99
因果応報 p.99
ことわざから p.100
新聞記事から p.100
善と悪 p.100
華のある役者 p.102
心に残るセリフ p.102
ギリシア神話 p.102
身近にある小道具 p.103
★まだ作品づくりに不安のある方へ p.103
現場に立つ p.104
プロセスが大事 p.104
読みたくなる設定と条件 p.104
PART5 絵について
絵の表現(読者を引きつける絵) p.108
絵をごまかして描かない p.109
線をいかす p.109
見開きページの白と黒の使い方 p.109
人物は左向きや上半身ばかり描かないように p.109
ラストのコマは次ページへの効果を考えて p.110
マンガの流れに気を配る p.110
目線に注意 p.110
登場人物の描き分けができるように p.110
体型と性格 p.111
人物の性格や雰囲気が表現できるように p.111
表情としぐさが描けるように p.111
人物がアップのときのバック p.112
人物の動きが描けるように p.112
読者を引き込むアングル p.113
その場の状況説明をしっかり p.113
絵と文字を重複させない p.113
心理描写やモノローグが長くなるとき p.114
ひとつのコマの役わり p.114
線もコマもできるだけ省略する p.114
間の取り方をよく考えて p.114
原稿の版面からのはみだしは多用しない p.115
スクリーントーンは効果的に使う p.115
わざと流れを止める必要もある p.116
★この本の利用のしかた p.116
PART6 出版社への持ち込み・投稿
編集者は作家の味方 p.118
新人大歓迎 p.118
編集者はマンガ家の味方です p.118
持ち込みと投稿 p.118
マンガ賞にチャレンジしよう! p.119
性別・年齢・国籍は気にしない p.119
編集者が一番見たいところ p.120
編集者が一番困る作品 p.120
持ち込み・投稿するときのマナーと注意点 p.120
EXTRA マル秘ノート マンガってなんだ
マンガってなに? p.124
小説・映画・TVドラマ・演劇・アニメなどと求めるものは同じ p.124
読者あってこそ p.125
読者層について p.125
作品は思いの伝達 p.126
生活感覚を大切にする p.127
フィクションのメリットとデメリット p.127
ヒーローの移り変わり p.128
一番先にとらえる時代感覚 p.129
新しさについて p.130
10人が10人、おもしろいとは言わない p.131
マンガを読むときはひとり p.132
作家の名前だけでマンガは売れません p.133
雑誌に掲載されるマンガの組み合わせ p.133
読み切りマンガのページ数は p.134
こんなことは信じないで p.135
いま マンガは p.135
遊び心を大切に p.136
あとがき p.137-139
カットイラスト p.140-143
奥付 p.144 /著者紹介:八窪頼明(やくぼよりあき) 昭和34年小学館入社。「週刊少年サンデー」「別冊少年サンデー」「ビックコミック」「ビックコミックオリジナル」の創刊に加わる。編集者として、手塚治虫、横山光輝、石森章太郎、藤子不二雄、白土三平、さいとう・たかを、赤塚不二夫、ちばてつや、水島新司、楳図かずお、ジョージ秋山、水木しげる、萩尾望都、竹宮惠子、里中満智子などの各氏と交流。この間、「小学五年生」「ビックコミック」「別冊少女コミック」「ちゃお」などの編集長を歴任。新人マンガ家育成に力を注ぎ、ビデオ「あなたもまんが家になれる!少女まんが編」を小学館で立案販売。好評を博する。小学館を退社後、(株)ホーム社にて、「ちばてつや全集」(全149巻)の編集に携わる。その後、コミックコンサルタントとして活躍中。