パース塾2 実践編
ながらく漫画向けのパースについての良書というのはありませんでしたが、「パース塾2」で決着しました。前書「パース塾」が基本を押さえた初心者向けの内容で好評だったようで、今度は「パース塾2実践編」としてより具体的なパースを使った背景の描き方を指南してくれます。
パース塾 2 実践編―画力がメキメキUPする!いちばん簡単な遠近法講座 (2)
著者/椎名見早子(「花とゆめ」から漫画家デビュー。アミューズメントメディア総合学院・マンガ科講師。)ということもあって、最も解りやすく簡単な「パース(遠近法)講座」を目指した結果できた参考書です。これがマスターできればアシスタントが務まるであろう「背景アシスタント養成講座」でもある。
基本は「四角い箱」の積み重ね。そして天地がひっくり返っても「アイレベル」を常に意識して、「消失点」と「パースライン」は見極めねばなりません。あとは個別具体的な描き方の技術で、「ニ支点一点透視」とか「不等分割」は知っていれば便利です。
これからパースの知識はもっと重要になるとおもう。コミックスタジオには2DLT・3DLT機能といった、写真や3Dモデルをコマの中に埋め込む作業があります。それ以外のソフトでもデジタル素材を画面の中で動かすことはよくあります。そんな時、不自然にならない、または効果的な画面に仕上げるにはパースラインが読めないと調整できません。
もっと云えば、これから増え続ける写真や3D素材などのデジタル素材があれば、絵が描けなくても漫画はできる。しかし、パースラインや視線誘導といった知識がないと見やすく読みやすいマンガにはならないでしょう。
▼目次(パース塾2実践編)
はじめに p.2
■1章 パースの基本をおさらい p.7
第1話「箱の街」(マンガ) p.8
遠近法のキホン:アイレベル p.10 /消失点とパースライン p.11
一点・二点透視:一点透視ってどんな絵? p.12 /二点透視ってどんな絵? p.13
三点透視と角度違い:三点透視ってどんな絵? p.14 /角度が違う箱はどう描く? p.15
分割と増殖:均等に分かれた窓はどう描く? p.16 /範囲が決まっていないときは? p.17
傾斜と円形:坂道はどう描く? p.18 /円形はどう描く? p.19
たくさんの人物:同じ画面に複数の人を描くには? p.20
パースの間違い探し p.22
影を描こう:影にもパースがつくの? p.24 /画面内に光源がある場合 p.24 /StepUp影の長さは? p.25 /画面手前から光が当たる場合 p.26 /室内などにある人工灯の場合 p.27
一点透視が歪む?:歪んだ絵になるのはナゼ? p.28
一点透視が窮屈?:二支一点透視で修正しよう p.30
■2章 仕組みを考えて描こう p.33
第2話「ちょうどいい箱」(マンガ) p.34
家具あれこれ:スケールを合わせよう p.36 /パースを合わせよう p.37
机の描き方:四角い箱で考えよう p.38 /ダイニングテーブルを描いてみよう p.38 /StepUp机の角はどうなってる? p.39 /いろいろな机 p.40 /StepUpどこがおかしい? p.41
椅子の描き方:単純化して考えよう p.42 /ダイニングチェアを描いてみよう p.42 /椅子に人物を座らせるには p.44 /いろいろな椅子 p.46 /OnePointAdvice一本足の椅子 p.47 /机と椅子のセット p.48 /ひとつだけ角度が違う椅子は? p.49
たんすの描き方:たんすを描くときの注意 p.50
照明の描き方:照明を描くときの注意 p.52 /いろいろな照明 p.52
第3話 「閉じ込められて」(マンガ) p.54
トビラのあれこれ:扉はキチンと描きましょう p.56 /扉は主に2タイプです p.57
引き戸の描き方:引き戸の仕組みを考えよう p.58 /開いたふすまを描いてみよう p.59 /見上げた引き戸・見下ろした引き戸 p.62 /上下に開く扉はどう描く? p.63 /いろいろな引き戸 p.64 /StepUp格子はきちんと分割 p.65
ドアの描き方:ドアの仕組みを考えよう p.66 /OnePointAdvice蝶つがいいろいろ p.66 /開いたドアを描いてみよう p.67 /OnePointAdvice角度が変われば二点透視 p.69 /見上げたドア・見下ろしたドア p.70 /観音開きのドアはどう描く? p.71 /いろいろなドア p.72 /StepUp凸凹模様のあるドアは? p.73
出窓の描き方:出窓の仕組みはどうなっているの? p.74 /いろいろな形の出窓 p.75 /4分割の出窓を描いてみよう p.76 /いろいろな窓 p.77
便利な不等分割:違った大きさが並んでいたら? p.78 /不等分割の窓を描いてみよう p.78
■3章 いろいろな部屋を描こう p.81
1リビングルーム p.82:リビングルームにあるもの p.84 /リビングルームいろいろ p.86
2プライベートルーム p.88:プライベートルームにあるもの p.90 /プライベートルームいろいろ p.92
3玄関から見た廊下 p.94
4廊下から見た玄関 p.95
5ダイニング p.98:キッチンいろいろ p.100
6洗面所 p.102
7和室 p.104
8オフィス p.105
9教室 p.108
パースライン探し p.110
■4章 家を一軒描いてみよう p.113
計画を立てる p.114:ラフを描く /資料を揃える /アタリを描く
大きな部分を描く p.116:消失点・アイレベルを決める /大まかな箱を描く /OnePointAdviceアイレベルの位置 p.116
屋根を描く p.118:手前の箱部分 /奥の箱部分 /全体像の完成
細かい部分を描く p.120:階段 /道路の端 /塀 /窓 /玄関ドア /照明 /ポスト /樹木など
人物を入れる p.123
影を描く p.124
仕上げ p.125:下絵完成 /ペン入れ /完成!
おわりに p.126
追記:2008年3月※初版のパース塾2 実践編は山海堂(Wikipedia)でしたが倒産して、今は廣済堂出版で再販されています。